一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

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加齢変化・基礎研究

加齢変化・基礎研究

2018年6月22日(金) 09:40 〜 10:10 第3会場 (6F 大会議室)

座長:丸岡 靖史(昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座地域連携歯科学部門)

[O1-1] 高齢者における口腔内細菌叢と腸内細菌叢の関連性

○岩内 めぐみ1、石川 健太郎1、三國 文1、村上 浩史1、浅見 拓哉1、久保田 一見1、弘中 祥司1 (1. 昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔衛生学部門)

【目的】
 我々の腸内細菌は加齢にともない構成が変化することが知られており,その一部には口腔内に生息する属と同一の細菌が含まれていると報告がある。そこで本研究では高齢者における腸内細菌と口腔内細菌の関連性について検討を行った。
【方法】
 健常成人30例および特別養護老人ホーム入居者30例を対象に口腔内細菌叢,口腔内総菌数,腸内細菌叢,口腔内状況を評価した。
 1.舌苔中の細菌叢:被験者の舌中央部の舌苔約2cm2から滅菌済みスワブで細菌を回収,DNAを抽出し,PCR-インベーダー法で総菌数およびP. gingivalis数を測定した。また,定量PCRや16SrRNAメタゲノム解析による細菌叢解析を行った。
 2.歯周ポケット中の細菌叢:各被験者の歯周ポケットの最深箇所に滅菌ペーパーポイントを挿入して細菌を含む浸出液を回収し,舌苔のサンプル同様の細菌叢解析を行った。
 3.腸内細菌叢:採便キットを用いて糞便を採取後,DNAを抽出し,定量PCRや16SrRNAメタゲノム解析による細菌叢解析を行った。
 4.口腔内評価:残存歯数,義歯の使用状況,歯周ポケット,歯周病重症度について評価した。
【結果】
 成人と高齢者では口腔内・腸内ともにさまざまな細菌種について有意な差が認められた。また,各被験者における口腔内と腸内における細菌叢の類似性を評価するためUniFrac距離を算出したところ,成人よりも高齢者で口腔内細菌叢と腸内細菌叢の相同性が有意に高いことが認められた。
【考察】
 高齢者群では成人群よりも口腔内細菌叢と腸内細菌叢の相同性が高いことが示されたことから,高齢者における口腔健康管理は,成人よりも腸内細菌叢のバランスに影響を与える可能性が考えられた。