一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

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一般演題口演

加齢変化・基礎研究

加齢変化・基礎研究

2018年6月22日(金) 10:10 〜 10:40 第3会場 (6F 大会議室)

座長:竹島 浩(明海大学歯学部病態診断治療学講座高齢者歯科学分野)

[O1-4] 舌筋の加齢変化に対する輝度計測の有用性

○Chantaramanee Ariya1、戸原 玄1、原 豪志1、中根 綾子1、水口 俊介1 (1. 東京医科歯科大学大学院高齢者歯科学分野)

【目的】
 舌は,食塊の送り込みだけでなく,嚥下反射時にも重要な役割を果たす。舌筋は,加齢により筋力,筋量が減少するだけでなく,筋内組織に脂肪が沈着することで,筋の質が変化する。筋の質の変化の評価については,超音波測定装置を用いて輝度を計測する方法が有用である。本研究では,健常高齢者において,舌筋の輝度と筋量,舌の運動機能との関係性を調査したので報告する。
【方法】
 65歳以上の健常高齢者123名(男性39名:72.6±4.8歳,女性84名:69.8±5.6歳)を対象とした。超音波測定装置を用いて舌筋の厚み(以下,舌厚)と舌筋の輝度(以下,輝度)を計測した。舌筋の運動機能について,舌圧を筋力の評価として計測し,巧緻性の評価として,オーラルディアドコキネシスのうち,/ta/,/ka/の回数/秒を計測した。統計処理は,輝度を従属変数とした重回帰分析を行い,有意水準を0.05とした。
【結果と考察】
 舌圧,舌厚,輝度の平均値は,それぞれ30.2±8.5kPa,40.5±4.0mm,46.4±8.7であった。/ta/の回数は,平均5.7±1.1回,/ka/の回数は平均5.8±1.1回であった。年齢と性別を多変量解析にて調整した結果,輝度の説明変数として舌厚(β=-0.555, p<0.01)と/ta/(β=-0.259,p=0.048)が有意な値を示したが,舌圧は有意な変数ではなかった(β=0.028,p=0.737)。舌筋の質の変化は,舌の強さよりも,巧緻性と関連があることが示唆された。舌の輝度計測は,加齢に伴う舌の巧緻性の低下と舌厚の減少を非侵襲的な評価に有用であると考えられた。