The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題口演

全身管理・全身疾患

全身管理・全身疾患

Fri. Jun 22, 2018 10:50 AM - 11:20 AM 第3会場 (6F 大会議室)

座長:深山 治久(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科麻酔・生体管理学分野)

[O1-9] 高齢障害者に対して当院で実施した全身麻酔下歯科治療

○旭 吉直1,2、畑中 有希1,2、宮本 順美1,2、青野  陽2、大道 士郎1,2 (1. 社会医療法人大道会森之宮病院歯科診療部、2. 社会医療法人大道会ボバース記念病院歯科診療部)

【目的】
 高齢の障害者や認知症を発症した高齢者に対し全身麻酔下の歯科治療が必要になる場合があるが,一般的に高齢者は心肺機能が低下して合併疾患も多く,リスクが高い。今回,当院における高齢者の全身麻酔下歯科治療の安全性を高めるために調査を行ったので報告する。
【方法】
 2015から2017年の3年間に当院で全身麻酔下歯科治療を受けた60歳以上の患者8名(性別:男性7名,女性1名。年齢: 60~80歳。75歳未満7名,75歳以上1名。平均67.6±6.7歳。)21例を対象とした。全身麻酔の主な原因は,歯科治療恐怖症3名,認知症2名,脳性麻痺,知的障害,異常絞扼反射各1名で,3名が高血圧症を,1名が糖尿病を合併していた。診療録および麻酔チャートから麻酔法,麻酔中の異常,処置などについて調査を行った。
【結果と考察】
 全例で麻酔の導入と維持にプロポフォールとレミフェンタニルを使用し,呼吸管理をフレキシブルタイプのラリンジアルマスクエアウェイ(以下LMAF)によって行っていた。術中の異常は全て循環器系で,導入後の血圧低下が多かった。収縮期血圧が180mmHg以上に達したものは2例であったのに対して,80mmHg未満まで下降したものは16例であった。このため19例においてエチレフリン塩酸塩を使用していた。呼吸器系も含めて,その他には術中に異常は認めなかった。局所麻酔薬が12例に使用されていたが,血圧への影響は認められなかった。
 血圧変動以外に大きな問題がなかったのは,後期高齢者および重症疾患の合併者が少なくかったことや全例急速導入で侵襲の小さなLMAFを使用していたことなどが影響していると考えられる。今後は導入法の再検討が必要と言える。