[O1-10] 歯科医院の口腔機能管理が頭頸部癌術後合併症を減らす
―頭頸部癌遊離組織再建手術術後合併症のリスク因子―
【緒言】
1980年代以降,遊離組織再建手術が開発され,現在は局所進行頭頸部癌に対する標準治療の一つとして確立されている。しかし重篤な合併症の一つに手術部位感染(SSI)があり40%を超えるという報告もある。これにより患者のQOLを著しく損なうだけではなく,追加治療の開始の遅延を招き生存率にも影響する。本研究の目的はSSI発症のリスク要因,特に地域一般歯科診療所との医療連携による術前からの口腔機能管理がSSIの軽減に有効であるかに注目し検討した。
【方法】
2003年3月から2011年8月まで,宮城県立がんセンター頭頸部外科で行われた,同一形成外科医による遊離皮弁再建手術を受けた頭頸部癌患者183人を後ろ向きに調査した。
【結果】
135人が男性で48人が女性であり,平均年齢は62歳(29〜82歳)であった。腫瘍の位置は,口腔(n=76),下咽頭(n =55),中咽頭(n=28)であった。臨床的段階は,UICC分類によるステージI / IIが18例,ステージIII / IVが164例であった。合計66人の患者(36.1%)がSSIを有していた。SSIに有意に関連する因子は多変量解析によると,術前からの口腔機能管理(OR=2.545;95% CI 1.281-5.054;p=0.0076),放射線治療歴(OR=2.820;95% CI 1.166-6.822;p=0.0214)が示された。
【結語】
放射線治療歴,術前からの口腔機能管理が危険因子であることが明らかになった。頭頸部遊離組織再建手術前において地域一般歯科医院と連携し口腔機能管理を行うことを強く推奨する。
1980年代以降,遊離組織再建手術が開発され,現在は局所進行頭頸部癌に対する標準治療の一つとして確立されている。しかし重篤な合併症の一つに手術部位感染(SSI)があり40%を超えるという報告もある。これにより患者のQOLを著しく損なうだけではなく,追加治療の開始の遅延を招き生存率にも影響する。本研究の目的はSSI発症のリスク要因,特に地域一般歯科診療所との医療連携による術前からの口腔機能管理がSSIの軽減に有効であるかに注目し検討した。
【方法】
2003年3月から2011年8月まで,宮城県立がんセンター頭頸部外科で行われた,同一形成外科医による遊離皮弁再建手術を受けた頭頸部癌患者183人を後ろ向きに調査した。
【結果】
135人が男性で48人が女性であり,平均年齢は62歳(29〜82歳)であった。腫瘍の位置は,口腔(n=76),下咽頭(n =55),中咽頭(n=28)であった。臨床的段階は,UICC分類によるステージI / IIが18例,ステージIII / IVが164例であった。合計66人の患者(36.1%)がSSIを有していた。SSIに有意に関連する因子は多変量解析によると,術前からの口腔機能管理(OR=2.545;95% CI 1.281-5.054;p=0.0076),放射線治療歴(OR=2.820;95% CI 1.166-6.822;p=0.0214)が示された。
【結語】
放射線治療歴,術前からの口腔機能管理が危険因子であることが明らかになった。頭頸部遊離組織再建手術前において地域一般歯科医院と連携し口腔機能管理を行うことを強く推奨する。