一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

一般演題口演

介護・介護予防/全身管理・全身疾患

全身管理・全身疾患/介護・介護予防

2018年6月22日(金) 11:20 〜 11:50 第3会場 (6F 大会議室)

座長:柏﨑 晴彦(九州大学大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学講座高齢者歯科学・全身管理歯科学分野)

[O1-12] 高齢者オーラルフレイル予防の魚肉ペプチド臨床応用への基礎的検討
―歯科・栄養連携による新しい臨床展開―

○小松 知子1、重藤 良太1、能地 玲子1、高野 知子2、近藤 永3、宮城 敦1、森本 佳成1、李 昌一4 (1. 神奈川歯科大学大学院歯学研究科全身管理医歯学講座障害者歯科、2. 神奈川歯科大学大学院高度先進口腔医学講座横浜クリニック障害者歯科、3. 近藤歯科医院、4. 神奈川歯科大学大学院横須賀・湘南地域災害医療歯科学研究センター)

【目的】
 障害者や高齢者の歯の喪失による口腔機能の低下は,低栄養,サルコペニアと関連してフレイル,オーラルフレイルを引き起こすが,低栄養に関する栄養学的観点からのオーラルフレイル予防の臨床応用の試みはまだ少ない。私たちはこの臨床応用を実現するため,食品由来魚肉タンパク(Fish protein;FP)ペプチド(FP peptide;FPP)の筋機能に必要な栄養素であるタンパクの栄養吸収に対する検討と歯周病を含む生活習慣病の原因となる活性酸素種(Reactive Oxygen Species;ROS)に対する効果を検討したので報告する。
【方法】
 本研究では,ラットを用いた吸収試験を実施し,FPの生体内での窒素利用効率について,比較対象としてカゼイン(Control;C)を用い検討した。さらに大豆タンパク質(Soybean Protein;SP)および大豆タンパク質由来ペプチド(SP peptide;SPP)とも比較検討してタンパク質効率を検討した。さらに,ROSであるヒドロキシラジカル(HO)の消去能を電子スピン共鳴法によりFPPとSPPを用いてHO消去能を比較検討した。
【結果と考察】
 タンパク質効率はC群,SP群,FP群の中でFPP群が一番高かった。HO産生に対する消去能においては,FPはSPに比べ有意に亢進した。フレイルにおける筋機能改善にはタンパク質補給が重要である。FPPは良質で,タンパク補給が可能であり,ROSによる酸化ストレスによる全身疾患を予防する可能性示唆された。今後このFPPを用いて,オーラルフレイル予防を歯科・栄養士連携で取り組む臨床展開についても議論したい。