一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

一般演題口演

連携医療・地域医療

連携医療・地域医療

2018年6月22日(金) 14:40 〜 15:10 第2会場 (1F 小ホール)

座長:枝広 あや子(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所)

[O1-16] 回復期病棟におけるOral Assessment Sheet (OAS)評価の信頼性と検討

○山口 ひさ子1、岡本 美英子2、谷口 裕重2 (1. おざわ歯科クリニック、2. 藤田保健衛生大学医学部歯科・口腔外科)

【目的】
 当院が歯科訪問診療で介入するS病院(回復期140床)において,平成26年に口腔ケアワーキンググループ(以下,WG)を設立した。WGでは,口腔内を評価する視点と口腔ケア技術の統一を目的とし,継続した活動を行っている。今回,口腔内評価方法を統一するため,Oral Assessment Sheet (OAS)を作成し,その信頼性を検討したので報告する。
【方法】
 OASの項目,判定基準はOHATを基本とした。用語を多職種が理解しやすい言葉に変更し,評価基準を見直した。見本写真は入院患者の口腔写真を使用した。また,病棟の勉強会で歯科衛生士によるOASの使用方法の説明を行った。OAS導入前より歯科医師と看護師がOHATによる評価を実施していた1病棟でOASを運用し,使用方法についてのアンケートおよび看護部による評価と歯科での評価との一致率を調査した。
【結果と考察】
 OASの導入により,全ての項目において口腔内評価の一致率が向上した(合計点一致率15.2%→36.8%)。また,看護部へのOASに関するアンケートでは,「評価にかかる時間が短縮できる」「評価者間の差を減少させ統一した評価ができる」では半数以上が,「スタッフ教育の資料に活用できるか」では90%が「そう思う」と回答していた。アンケート結果より,OASの導入により,看護部が歯科独特の言語や症状を理解しやすくなり,また評価基準の簡略化を図ることができ,評価の精度を向上することができたと考えられた。
【結論】
 WG活動の一環として,S病院独自のOASを作成した。今回の結果からOASが有用であることが示された。入院患者の口腔管理のため,OASを継続的に運用することが必要と考える。