The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題口演

実態調査

実態調査

Fri. Jun 22, 2018 2:10 PM - 2:40 PM 第3会場 (6F 大会議室)

座長:羽村 章(日本歯科大学生命歯学部高齢者歯科学)

[O1-19] Bayesian Cohort Modelによる永久歯歯数の将来推計,歯科疾患実態調査資料を用いて

○那須 郁夫1,2 (1. 北原学院歯科衛生専門学校、2. 日本大学客員教授)

【目的】
 厚生労働省歯科疾患実態調査によれば,高齢者の歯数の改善は進んでいるという。本報告は,昭和32年から平成28年までの同調査資料を用いて,次回調査以降の一人当たり永久歯歯数(以下歯数)の将来推計を試みたものである。
【資料および方法】
 全11回分の調査資料から男女別に5~9歳から85歳以上までの歯数を求め(含智歯),17年齢階級×11調査年からなるコウホート表を作成して,等計量線図により60年間の変化を観察した。次いで中村のベイズ型コウホートモデルによる分析を行い,時代・年齢・コウホートの3効果のパラメータの推定値を得た。それらの推定値を外挿的に延長して,次回および次々回調査の歯数を推計した。
【結果と考察】
 [等計量線図]歯数は齲蝕の少ない昭和15年生れ世代で多く,その後同40年生れまで減少していた。65歳階級は,平成23年に男女とも20本を超え,今回(同28年)は22本となった。また,80歳階級では15本を超えた。昭和50年代以降,世代が若いほど歯数が増加する傾向は継続しており,特に女性でこの傾向が強い。[コウホート分析]年齢効果によれば,歯は加齢とともに減少している。時代効果の増加は今回も継続しており,これも女性で傾向が強い。コウホート効果は,明治・大正生まれ世代で低い。昭和20年から50年生れまでは,一貫して女性の方がコウホート効果が高い。[将来推計]今後,歯数は男女差が逆転し,65歳以上で,次回調査では 1本,次々回調査では,1ないし2本女性の方が多くなると予測された。
 以上,歯数の改善は継続中であり,特に高齢女性の歯数増加は,男性を上回ることが見込まれる。