The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題口演

実態調査

実態調査

Fri. Jun 22, 2018 2:40 PM - 3:10 PM 第3会場 (6F 大会議室)

座長:河相 安彦(日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座)

[O1-24] 認知症病棟患者の口腔機能低下と老化に伴う要介護要因の調査 
―バイオ・サイコ・ソーシャルな視点から―

○山口 麻子1,2、野末 真司3、羽根 瞳3、石﨑 晶子4、久保田 一見4、弘中 祥司4、丸岡 靖史2、高橋 浩二3、佐藤 裕二5 (1. 昭和大学附属烏山病院歯科・歯科口腔外科、2. 昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座地域連携歯科学部門、3. 昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔リハビリテーション医学部門、4. 昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔衛生学部門、5. 昭和大学歯学部高齢者歯科学講座)

【目的】
 認知症病棟患者の残された機能のフレイル予防,要介護度維持のために歯科医療ができることを探求する目的で患者の現状と口腔内情報を調査したので報告する。
【対象および方法】
 対象は2017年11月末時点で認知症病棟への入院期間が3ヵ月以上の患者44名 (男性12名,女性32名) とした。診療録を基に年齢,性別,全身状態,内服薬,栄養状態,入院前の状況,口腔機能,歯科受診依頼内容についてデータを収集し,病棟において利き手のピンチ力と下腿周囲長の測定および食具,日中の身体拘束の有無を調査した。
【結果と考察】
 平均年齢は80.4±6.6歳,原疾患はアルツハイマー型認知症50%,血管性認知症17%であった。64%が7種類以上の内服薬を服用,25%に骨折,45%にその他整形外科疾患の既往があった。88%が経口摂取,32%が低BMI,57%が低Alb値であった。入院前の状況は,自宅・病院・施設の順に73・16・11%,退院後は病院,施設を検討していた。36%が残根を有し,50%がEichnerの分類B4,C1,C2,C3であり咬合支持域を失っていた。下腿周囲長は82%が31.0cm以下,平均ピンチ力は2.2±1.6kgf,箸の利用者は20%,89%が拘束帯付き車椅子を使用していた。主な歯科受診依頼内容は,誤嚥と窒息の予防を目的とした口腔機能評価と食形態の評価,残根および動揺歯の歯肉炎による咬合痛,義歯落下による破折修理,義歯紛失および食形態の改善を目的とした義歯製作であった。今回の結果より,認知症病棟における全身のフレイルや口腔機能管理に対する介入不足が明らかになった。今後,多職種協働を推進し,現状を改善していきたいと考える。