[O2-1] 介護老人福祉施設入所高齢者の摂食嚥下機能の簡易評価と死亡との関係
―1年間の縦断調査―
【目的】
日本では終末期にある要介護高齢者に対する適切なケアの在り方が議論されている。要介護高齢者は低栄養状態に陥るリスクが高く,その一因である摂食嚥下障害が生命予後と関連するという報告がある。しかし,摂食嚥下機能評価は専門性が高く,介護現場で容易に実施することは困難である。そのため簡易評価でリスクの高い者を抽出し,専門家による評価に繋げる必要がある。そこで摂食嚥下機能障害の簡易評価を検討することを目的に要介護高齢者の縦断調査を行い,簡易な摂食嚥下機能評価と死亡発生との関連を検討した。
【方法】
3つの介護老人福祉施設の要介護高齢者157名(平均年齢84.1±7.4歳)のベースライン調査を行い,その後1年間死亡についての情報を収集した。調査項目は基礎情報,既往歴,臨床的認知症尺度,栄養状態(MNA®-SF),構音評価,改訂水飲み試験等を調査した。解析はCox回帰分析により検討した。
【結果】
観察期間中の死亡者数は26名(16.5%)であった。Cox回帰分析の結果(HR,95%CI),呼吸器疾患の既往(3.83,1.18-12.4),MNA®-SF(0.79,0.63-0.98),構音評価(3.25,1.08-9.73),改訂水飲み試験(7.33,2.35-22.8)は死亡発生と有意に関連していた。
【結論】
要介護高齢者では,嚥下と構音の評価が死亡発生の予知に有用であることが明らかになった。これら指標は簡便で直接ケア内容に反映でき,介入による変化を捉えやすい評価である。多職種がこれら簡易な嚥下と構音の評価に基づいたケアを行うことは終末期ケアに根拠を与え,生活の質の向上にも貢献できる可能性が示唆された。
日本では終末期にある要介護高齢者に対する適切なケアの在り方が議論されている。要介護高齢者は低栄養状態に陥るリスクが高く,その一因である摂食嚥下障害が生命予後と関連するという報告がある。しかし,摂食嚥下機能評価は専門性が高く,介護現場で容易に実施することは困難である。そのため簡易評価でリスクの高い者を抽出し,専門家による評価に繋げる必要がある。そこで摂食嚥下機能障害の簡易評価を検討することを目的に要介護高齢者の縦断調査を行い,簡易な摂食嚥下機能評価と死亡発生との関連を検討した。
【方法】
3つの介護老人福祉施設の要介護高齢者157名(平均年齢84.1±7.4歳)のベースライン調査を行い,その後1年間死亡についての情報を収集した。調査項目は基礎情報,既往歴,臨床的認知症尺度,栄養状態(MNA®-SF),構音評価,改訂水飲み試験等を調査した。解析はCox回帰分析により検討した。
【結果】
観察期間中の死亡者数は26名(16.5%)であった。Cox回帰分析の結果(HR,95%CI),呼吸器疾患の既往(3.83,1.18-12.4),MNA®-SF(0.79,0.63-0.98),構音評価(3.25,1.08-9.73),改訂水飲み試験(7.33,2.35-22.8)は死亡発生と有意に関連していた。
【結論】
要介護高齢者では,嚥下と構音の評価が死亡発生の予知に有用であることが明らかになった。これら指標は簡便で直接ケア内容に反映でき,介入による変化を捉えやすい評価である。多職種がこれら簡易な嚥下と構音の評価に基づいたケアを行うことは終末期ケアに根拠を与え,生活の質の向上にも貢献できる可能性が示唆された。