The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題口演

口腔機能

口腔機能

Sat. Jun 23, 2018 9:50 AM - 10:20 AM 第3会場 (6F 大会議室)

座長:渡邊 裕(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所)

[O2-2] 高齢者における最大咬合力と3年後の低栄養との関連
―SONIC Studyより―

○福武 元良1、佐藤 仁美1、八田 昂大1、三原 佑介1、猪俣 千里1、武下 肇1、榎木 香織1、松田 謙一1、池邉 一典1 (1. 大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座有床義歯補綴学・高齢者歯科学分野)

【目的】
 高齢者において,口腔内の状態と栄養状態との間に関連がみられることが,これまで数多く報告されている。我々も,横断研究により咬合力と一部の食品摂取量との間に関連がみられることを報告している。そこで今回は,80歳の地域高齢者を対象とした縦断研究において,咬合力と,3年後の低栄養との関連について検討を行った。
【方法】
 対象者は80歳の高齢者167名とした。咬合力はデンタルプレスケール(ジーシー社)を用いて測定した。BMIが18.5未満,上腕周囲長が21cm未満,下腿周囲長が31cm未満のいずれかを満たす人を低栄養と定義した。ベースライン時に低栄養と定義された人は分析から除外した。ベースライン時に低栄養でなかったが,フォローアップ時に低栄養であった人を栄養低下群,低栄養でなかった人を維持群とした。咬合力と栄養状態との関連を検討するために,Mann-WhitneyのU検定を行った。さらに,栄養状態を従属変数とし,性別,咬合力,歯数,教育歴,経済状況を独立変数としたロジスティック回帰分析を行った。統計学的有意水準は5%とした。
【結果と考察】
 18人の被験者が栄養低下群と定義された(10.8%)。二変量解析の結果,栄養低下群の方がベースライン時の咬合力が低かった(p=0.04)。ロジスティック回帰分析の結果,ベースライン時の咬合力が,3年後の栄養低下と有意な関連をみとめた(オッズ比=0.69,p=0.03)。歯数と栄養低下との間に有意な関係はみられなかった。
 過去の研究より,食品選択は口腔状態に影響を受けると報告されている。以上のことから,80歳の日本人高齢者において,咬合力が低い人は,将来的に低栄養に陥りやすいことが示唆された。