[O2-4] 健常高齢者における舌圧と口腔周囲筋の関係
【目的】
舌筋の強さの指標である舌圧は,加齢や歯牙の欠損の影響を受けることが報告されている。一方で,咀嚼嚥下時に舌は,他の摂食嚥下関連筋と強調して動くため,舌圧はそれらの筋力とも関連があると考えられる。本研究では,健常高齢者において,舌圧と口腔周囲筋との関係性を調査したので報告する。
【方法】
65歳以上の摂食嚥下障害の症状のない健常高齢者232名(男性80名,女性152名:平均年齢71.3±4.8歳)を対象とした。身体機能の指標として,握力,BMI (body mass index)を計測し,舌筋の運動機能について,舌圧とオーラルディアドコキネシスのうち,/ta/,/ka/の回数/秒を計測した。口腔周囲筋の筋力については,咬合力と開口力を測定した。さらに,咬合状態は,アイヒナー分類を用いて,class A,B,Cに分類した。統計処理は,舌圧を従属変数とした重回帰分析を行い,有意水準を0.05とした。
【結果と考察】
多変量解析により性別と年齢を調整した結果,舌圧の説明変数として有意であった変数は,年齢(β=-0.222,p=0.001),/ta/(β=0.222,p=0.031),咬合力(β=0.148,p=0.047),アイヒナー分類(β=0.168,p=0.018),開口力(β= 0.231,p=0.001)であった. 歯牙の欠損により,舌圧は代償的に大きくなる一方で,舌圧と咬合力は,相互依存的に筋力低下する可能性が示唆された。さらに,舌圧産生時には,舌骨挙上が必要であるため,舌骨上筋の指標である開口力と舌圧が関係したと考えられた。
舌筋の強さの指標である舌圧は,加齢や歯牙の欠損の影響を受けることが報告されている。一方で,咀嚼嚥下時に舌は,他の摂食嚥下関連筋と強調して動くため,舌圧はそれらの筋力とも関連があると考えられる。本研究では,健常高齢者において,舌圧と口腔周囲筋との関係性を調査したので報告する。
【方法】
65歳以上の摂食嚥下障害の症状のない健常高齢者232名(男性80名,女性152名:平均年齢71.3±4.8歳)を対象とした。身体機能の指標として,握力,BMI (body mass index)を計測し,舌筋の運動機能について,舌圧とオーラルディアドコキネシスのうち,/ta/,/ka/の回数/秒を計測した。口腔周囲筋の筋力については,咬合力と開口力を測定した。さらに,咬合状態は,アイヒナー分類を用いて,class A,B,Cに分類した。統計処理は,舌圧を従属変数とした重回帰分析を行い,有意水準を0.05とした。
【結果と考察】
多変量解析により性別と年齢を調整した結果,舌圧の説明変数として有意であった変数は,年齢(β=-0.222,p=0.001),/ta/(β=0.222,p=0.031),咬合力(β=0.148,p=0.047),アイヒナー分類(β=0.168,p=0.018),開口力(β= 0.231,p=0.001)であった. 歯牙の欠損により,舌圧は代償的に大きくなる一方で,舌圧と咬合力は,相互依存的に筋力低下する可能性が示唆された。さらに,舌圧産生時には,舌骨挙上が必要であるため,舌骨上筋の指標である開口力と舌圧が関係したと考えられた。