[O2-10] 舌圧とRSSTを基準に咬合高径を決定した総義歯症例
【目的】
咬合高径の決定法として有歯顎の咬合高径を参考とする顔面高径計測と,咬合力など現時点での口腔機能を参考に決定する生理的機能計測に大別される。今回我々は,患者の嚥下機能に着目し,舌圧測定および反復唾液嚥下テスト(RSST)の結果から咬合高径を決定し,義歯新製した9症例を報告する。
【方法】
対象者は旧義歯使用に際して摂食障害を訴える9名(男性7名,女性2名)の無歯顎患者で,平均年齢は82.4±10.9歳であった。新義歯製作に際し,舌圧測定(GC社製JMS舌圧測定器)およびRSSTテストを咬合採得時に行い,最大値の得られた位置で咬合高径を設定した。さらに新製義歯にて再度計測し,初診時と比較した。各ステップでの咬合高径の参考値として,ノギスを使用して鼻下点・オトガイ間距離を測定した。
【結果】
咬合高径を最適な舌圧測定値およびRSST値で決定したことで,初診時(舌圧12.8±5.6kPa,RSST 3.1±2.3回)に対し,完成時(舌圧17.2±7.9kPa,RSST 4.2±2.5回)でその値は有意に増加した。一方鼻下点・オトガイ間距離は初診時(平均68.0mm)と比較して完成時(平均74.9mm)で増加していた。また本症例における3ヶ月後の新製義歯の装着率は100%であった。
【考察】
今回,舌圧測定値とRSST値を基準として総義歯の咬合高径を決定したが,すべての症例で鼻下点・オトガイ間距離が増加した。また摂食障害は改善され,高い満足度を得ることができた。すなわち口腔機能の回復を得るためには,舌圧計測値とRSST値も考慮して咬合高径を決定することで,義歯使用による嚥下機能低下をある程度防ぐことが示唆された。
咬合高径の決定法として有歯顎の咬合高径を参考とする顔面高径計測と,咬合力など現時点での口腔機能を参考に決定する生理的機能計測に大別される。今回我々は,患者の嚥下機能に着目し,舌圧測定および反復唾液嚥下テスト(RSST)の結果から咬合高径を決定し,義歯新製した9症例を報告する。
【方法】
対象者は旧義歯使用に際して摂食障害を訴える9名(男性7名,女性2名)の無歯顎患者で,平均年齢は82.4±10.9歳であった。新義歯製作に際し,舌圧測定(GC社製JMS舌圧測定器)およびRSSTテストを咬合採得時に行い,最大値の得られた位置で咬合高径を設定した。さらに新製義歯にて再度計測し,初診時と比較した。各ステップでの咬合高径の参考値として,ノギスを使用して鼻下点・オトガイ間距離を測定した。
【結果】
咬合高径を最適な舌圧測定値およびRSST値で決定したことで,初診時(舌圧12.8±5.6kPa,RSST 3.1±2.3回)に対し,完成時(舌圧17.2±7.9kPa,RSST 4.2±2.5回)でその値は有意に増加した。一方鼻下点・オトガイ間距離は初診時(平均68.0mm)と比較して完成時(平均74.9mm)で増加していた。また本症例における3ヶ月後の新製義歯の装着率は100%であった。
【考察】
今回,舌圧測定値とRSST値を基準として総義歯の咬合高径を決定したが,すべての症例で鼻下点・オトガイ間距離が増加した。また摂食障害は改善され,高い満足度を得ることができた。すなわち口腔機能の回復を得るためには,舌圧計測値とRSST値も考慮して咬合高径を決定することで,義歯使用による嚥下機能低下をある程度防ぐことが示唆された。