[O2-11] 当科における高齢者味覚障害患者の臨床的検討
【目的】
近年,高齢者の味覚障害は増加しており,それによって食欲が低下し,栄養状態の悪化から体調不良に陥ることが指摘されている。また,高齢者の味覚障害は背景が複雑で,心理社会的因子への配慮が必要になることも多い。そこで本研究では,当科における高齢者味覚障害の特徴を明らかにすることを目的とした。
【対象および方法】
2013年8月から2017年12月までの4年5か月間に,味覚異常を主訴に当科を受診した65歳以上の患者49例(男性14例,女性35例,平均年齢75歳)を対象とし,これらを後視野的に検討した。
【結果と考察】
味覚の自覚症状では,口内には何もないのに特定の味が持続する自発性異常味覚が27例(55%)と最も多く,次いで味覚減退13例(27%)であった。自発性異常味覚の異常味質では,苦味が最も多く約6割を占めていた。ほとんどの症例で口腔内随伴症状を有し,その半数以上の症例で口腔乾燥や,舌痛,約4割の症例で口内違和感を認めた。味覚障害の原因別では心因性15例,特発性と口腔疾患が各13例,亜鉛欠乏性4例,薬剤性2例,全身性と感冒後が各1例であった。治療法では,カンジダ原因の口腔疾患に対しては,抗真菌薬による除菌で改善が得られた。心因性と特発性に対しては,ロフラゼプ酸エチルと漢方が主に投与されていた。亜鉛製剤の補充は亜鉛欠乏性以外には特発性の一部と薬剤性,感冒後に投与されていた。不明を除いた全体の最終的改善率は81%と良好であったが,治療開始2か月で評価すると53%とかなり低下した。高齢者味覚障害は口腔内随伴症状の頻度が高く,短期予後は不良であり,症例ごとに長期にわたって種々の治療を試みるなかで改善していく症例が多く認められた。
近年,高齢者の味覚障害は増加しており,それによって食欲が低下し,栄養状態の悪化から体調不良に陥ることが指摘されている。また,高齢者の味覚障害は背景が複雑で,心理社会的因子への配慮が必要になることも多い。そこで本研究では,当科における高齢者味覚障害の特徴を明らかにすることを目的とした。
【対象および方法】
2013年8月から2017年12月までの4年5か月間に,味覚異常を主訴に当科を受診した65歳以上の患者49例(男性14例,女性35例,平均年齢75歳)を対象とし,これらを後視野的に検討した。
【結果と考察】
味覚の自覚症状では,口内には何もないのに特定の味が持続する自発性異常味覚が27例(55%)と最も多く,次いで味覚減退13例(27%)であった。自発性異常味覚の異常味質では,苦味が最も多く約6割を占めていた。ほとんどの症例で口腔内随伴症状を有し,その半数以上の症例で口腔乾燥や,舌痛,約4割の症例で口内違和感を認めた。味覚障害の原因別では心因性15例,特発性と口腔疾患が各13例,亜鉛欠乏性4例,薬剤性2例,全身性と感冒後が各1例であった。治療法では,カンジダ原因の口腔疾患に対しては,抗真菌薬による除菌で改善が得られた。心因性と特発性に対しては,ロフラゼプ酸エチルと漢方が主に投与されていた。亜鉛製剤の補充は亜鉛欠乏性以外には特発性の一部と薬剤性,感冒後に投与されていた。不明を除いた全体の最終的改善率は81%と良好であったが,治療開始2か月で評価すると53%とかなり低下した。高齢者味覚障害は口腔内随伴症状の頻度が高く,短期予後は不良であり,症例ごとに長期にわたって種々の治療を試みるなかで改善していく症例が多く認められた。