The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題口演

口腔機能

口腔機能

Sat. Jun 23, 2018 1:40 PM - 2:10 PM 第3会場 (6F 大会議室)

座長:松山 美和(徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔機能管理学分野)

[O2-17] 剥離上皮膜の有無と口腔・咽頭細菌叢
―次世代シーケンスによる解析―

○秋枝 俊江1、松村 康平2、宮原 康太1、高井 経之3、岡田 尚則4、島田 茂5、柿木 保明6、岡田 芳幸1、小笠原 正1 (1. 松本歯科大学障害者歯科学講座、2. 松村デンタルクリニック(大阪府)、3. たかいデンタルクリニック(京都府)、4. 岡田歯科医院(京都府)、5. ちむわざ歯科(沖縄県)、6. 九州歯科大学老年障害者歯科学分野)

【緒言】
 経管栄養患者の口腔内には,剥離上皮膜が形成されていることがある。剥離上皮膜と口腔・咽頭の細菌叢の関連性は明らかになっていない。これらの関係が明らかになれば,剥離上皮膜の細菌学的な為害性がわかり,除去効果も明確になる。今回,口蓋の剥離上皮膜の有無による舌,口蓋,咽頭の細菌叢の違いを細菌の門レベルで比較したので報告する。
【対象および方法】
 調査対象者は沖縄県の特別養護老人ホーム入所中の経管栄養の要介護高齢者10名(80.3±6.53歳)。調査方法は,剥離上皮膜の有無を確認し口蓋,舌,咽頭を滅菌スワブにて3カ所それぞれ20回擦過。DNA保存液に浸し30秒以上撹拌機にて懸濁し,DNA採取キットによりDNA抽出後,PCR法によりDNAを増幅(16S rDNAのV3-V4領域),次世代シーケンスによるメタ16S解析を行う。その後,検出された細菌叢のデータを部位別に門レベルで分類し,Mann-Whitney U検定にて統計処理を行う。
【結果】
 剥離上皮膜が確認できた者は10名中4名で,いずれの部位も最も多く検出されたのはProteobacteria門であった。咽頭では剥離上被膜の有無による門レベルの細菌組成には差がなく,口蓋と舌では,剥離上皮膜がある患者でFirmicutes門が,剥離上皮膜がない患者では,口蓋と舌でProteobacteria とActinobacteria門が多く検出された。
【考察および結論】
 経管栄養患者の剥離上皮膜の有無によって口蓋と舌に特徴的に多く検出される細菌門が認められた。しかし,咽頭ではこのような傾向がみられなかった。今後,これらの細菌門について属レベルでの詳細な検討を行う予定である。