[O2-20] 病識の乏しい高齢患者に対し,視覚素材を用いたことで摂食が可能になった一例
【緒言】
現在肺炎は死因の第三位であり,まさに現代病ともいえる存在になりつつある。さらに高齢者の肺炎の多くが誤嚥性肺炎と報告されている。今回誤嚥性肺炎で入院した高齢患者に,摂食方法の指導を工夫することで経口摂取に至った症例を経験したので報告する。
【症例】
88歳男性。2017年4月,旅行中に発熱し誤嚥性肺炎の疑いで当歯科病院に近接した日本大学病院に入院し数日間禁食状態となった。既往歴は喉頭癌と誤嚥性肺炎で,るい痩が認められ,早期経口摂取が可能か嚥下機能評価依頼を受けた。病識が乏しいことから誤嚥性肺炎や肺炎増悪のリスクに対する理解が低く,高齢で忘れやすく指導が守れないことが多かった。
【経過】
初診時の嚥下内視鏡検査では誤嚥のリスクが高かったが,頸部前屈位を十分にとることで誤嚥無くゼリーが摂取可能であった点から,直接訓練を開始した。その後嚥下造影検査を実施したところ,食道入口部の開大不全と右側梨状窩からの逆流を認めたが,頸部前屈位であれば全粥等は誤嚥を認めなかったため,頸部回旋と頸部前屈位の指導を行い食事を開始した。摂取時の姿勢や摂取方法について患者が高齢であり指導内容を忘れることが多かったので,患者が理解しやすいよう図を作製し,それを見ながら食事するよう指導した。その結果,指示内容を実践できるようになり,肺炎の増悪なく介入から1ヵ月後に自宅退院となった。現在では図を用いることで舌骨上筋群の負荷訓練等も積極的に実践し,栄養指導により体重も順調に増えている。当院の外来に通院できるまでに回復した。
【考察】
訓練内容を実践しやすいよう患者に合わせた指導を行うことが重要であり,視覚素材の活用も有効な方法であると思われた。
現在肺炎は死因の第三位であり,まさに現代病ともいえる存在になりつつある。さらに高齢者の肺炎の多くが誤嚥性肺炎と報告されている。今回誤嚥性肺炎で入院した高齢患者に,摂食方法の指導を工夫することで経口摂取に至った症例を経験したので報告する。
【症例】
88歳男性。2017年4月,旅行中に発熱し誤嚥性肺炎の疑いで当歯科病院に近接した日本大学病院に入院し数日間禁食状態となった。既往歴は喉頭癌と誤嚥性肺炎で,るい痩が認められ,早期経口摂取が可能か嚥下機能評価依頼を受けた。病識が乏しいことから誤嚥性肺炎や肺炎増悪のリスクに対する理解が低く,高齢で忘れやすく指導が守れないことが多かった。
【経過】
初診時の嚥下内視鏡検査では誤嚥のリスクが高かったが,頸部前屈位を十分にとることで誤嚥無くゼリーが摂取可能であった点から,直接訓練を開始した。その後嚥下造影検査を実施したところ,食道入口部の開大不全と右側梨状窩からの逆流を認めたが,頸部前屈位であれば全粥等は誤嚥を認めなかったため,頸部回旋と頸部前屈位の指導を行い食事を開始した。摂取時の姿勢や摂取方法について患者が高齢であり指導内容を忘れることが多かったので,患者が理解しやすいよう図を作製し,それを見ながら食事するよう指導した。その結果,指示内容を実践できるようになり,肺炎の増悪なく介入から1ヵ月後に自宅退院となった。現在では図を用いることで舌骨上筋群の負荷訓練等も積極的に実践し,栄養指導により体重も順調に増えている。当院の外来に通院できるまでに回復した。
【考察】
訓練内容を実践しやすいよう患者に合わせた指導を行うことが重要であり,視覚素材の活用も有効な方法であると思われた。