[O2-23] 服薬管理が困難な認知症高齢者に対する歯科訪問診療が多職種協働によって可能となった1症例
【目的】
本院では,多職種連携の基盤となるケアマネジャー(以下,CM)との連携を強化するために,歯科訪問診療と居宅療養管理指導の実施フローチャート,さらには情報共有に関する書式を作成し,運用してきている。この度,主たる介護者が認知症で,服薬管理が困難な要介護認知症高齢者に対する歯科訪問診療において,CMを中心として,かかりつけ医師と訪問看護師,薬剤師と連携することによって,服薬管理を伴う歯科治療が可能となった症例を経験したので報告する。
【症例および処置】
初診時90歳代の男性。現病歴:認知症(Ⅲb),糖尿病,高血圧症。生活状況:妻との二人暮らし。主訴:義歯が外れない。治療計画:残存6本のうち5本を抜歯,上下顎義歯の製作・装着。抜歯後の服薬管理に関して,介護者である妻が認知症で困難が予測された。かかりつけ医師から「1日1回の処方」で対応している旨の情報を得た。血液・生化学データに加えて,訪問看護師に身体情報を照会したところ腎機能の低下が認められたため,当院からの抗菌薬の用量を薬剤師と歯科医師が調整した。さらに,患者に関わる多職種が服薬管理と抜歯後の観察を常に行えるよう抜歯日をCMと調整した。抜歯窩の治癒には異常がなく,義歯装着も完了し,良好な経過を辿った。
【考察】
本症例では,服薬管理が困難な環境であったが,多職種が密接に連携することによって,順調な治療が可能となった。高齢化や核家族化が進む中,このような症例のさらなる増加が予測される。歯科訪問診療の実施には,患者の全身状態,生活背景,利用サービスの状況等の把握が一層重要となるため,患者に関わる多職種の情報資源を互いに理解し,活用する多職種協働がさらに必要になると考えられる。
本院では,多職種連携の基盤となるケアマネジャー(以下,CM)との連携を強化するために,歯科訪問診療と居宅療養管理指導の実施フローチャート,さらには情報共有に関する書式を作成し,運用してきている。この度,主たる介護者が認知症で,服薬管理が困難な要介護認知症高齢者に対する歯科訪問診療において,CMを中心として,かかりつけ医師と訪問看護師,薬剤師と連携することによって,服薬管理を伴う歯科治療が可能となった症例を経験したので報告する。
【症例および処置】
初診時90歳代の男性。現病歴:認知症(Ⅲb),糖尿病,高血圧症。生活状況:妻との二人暮らし。主訴:義歯が外れない。治療計画:残存6本のうち5本を抜歯,上下顎義歯の製作・装着。抜歯後の服薬管理に関して,介護者である妻が認知症で困難が予測された。かかりつけ医師から「1日1回の処方」で対応している旨の情報を得た。血液・生化学データに加えて,訪問看護師に身体情報を照会したところ腎機能の低下が認められたため,当院からの抗菌薬の用量を薬剤師と歯科医師が調整した。さらに,患者に関わる多職種が服薬管理と抜歯後の観察を常に行えるよう抜歯日をCMと調整した。抜歯窩の治癒には異常がなく,義歯装着も完了し,良好な経過を辿った。
【考察】
本症例では,服薬管理が困難な環境であったが,多職種が密接に連携することによって,順調な治療が可能となった。高齢化や核家族化が進む中,このような症例のさらなる増加が予測される。歯科訪問診療の実施には,患者の全身状態,生活背景,利用サービスの状況等の把握が一層重要となるため,患者に関わる多職種の情報資源を互いに理解し,活用する多職種協働がさらに必要になると考えられる。