[O2-24] 同種末梢血幹細胞移植後の慢性GVHD患者に発生した疣贅癌の1例
【緒言】
高齢人口の増加に伴い,造血器腫瘍性疾患は増加傾向にあり,これに対する造血幹細胞移植治療も年々増加している。一方,近年,造血幹細胞移植後には二次癌発生が報告されている。今回われわれは同種末梢血幹細胞移植施行後に,皮膚および口腔に慢性GVHDを発症し,移植12年後に頬粘膜疣贅癌を発症した1例を経験したので,その概要を報告する。
【症例】
患者:68歳,男性。初診日:平成29年1月。主訴:義歯不適合。既往歴:大腸癌,十二指腸原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫,急性骨髄性白血病,慢性GVHD。
【初診時現症】
全身所見:車椅子移動,意識清明,意思疎通可能。
口腔内所見:上下顎総義歯を使用しており,義歯不適合があった。右側頬粘膜に腫瘤を認めた。
【治療経過】
3病日後,詳細に検討したところ右側頬粘膜腫瘤は長径11mm大で二峰性であった。表面顆粒状,弾性軟であり,周囲との境界は明瞭であった。ヨード染色では不染域を認めなかった。7病日後,良性腫瘍と考え腫瘤全摘生検を実施した。病理診断は疣贅癌であった。その後,外来にて経過観察を行い,経過良好であったが平成29年3月に転院し,同月他院において死亡した。
【考察とまとめ】
造血幹細胞移植後には,二次癌発症リスクが高まると報告されている。特に口腔癌,食道癌は,移植後の経過が長期であるほど,発症リスクが高いとされている。口腔発生の二次癌はほとんどが扁平上皮癌であり,われわれが渉猟し得た限りにおいて,今までに疣贅癌の報告はない。しかし,疣贅癌は扁平上皮癌の亜系であり,今後の移植件数増加に伴い,本症例と類似した二次癌発症もあり得る。これらを念頭に置き,移植後も経年的な口腔内診査が必要である。
高齢人口の増加に伴い,造血器腫瘍性疾患は増加傾向にあり,これに対する造血幹細胞移植治療も年々増加している。一方,近年,造血幹細胞移植後には二次癌発生が報告されている。今回われわれは同種末梢血幹細胞移植施行後に,皮膚および口腔に慢性GVHDを発症し,移植12年後に頬粘膜疣贅癌を発症した1例を経験したので,その概要を報告する。
【症例】
患者:68歳,男性。初診日:平成29年1月。主訴:義歯不適合。既往歴:大腸癌,十二指腸原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫,急性骨髄性白血病,慢性GVHD。
【初診時現症】
全身所見:車椅子移動,意識清明,意思疎通可能。
口腔内所見:上下顎総義歯を使用しており,義歯不適合があった。右側頬粘膜に腫瘤を認めた。
【治療経過】
3病日後,詳細に検討したところ右側頬粘膜腫瘤は長径11mm大で二峰性であった。表面顆粒状,弾性軟であり,周囲との境界は明瞭であった。ヨード染色では不染域を認めなかった。7病日後,良性腫瘍と考え腫瘤全摘生検を実施した。病理診断は疣贅癌であった。その後,外来にて経過観察を行い,経過良好であったが平成29年3月に転院し,同月他院において死亡した。
【考察とまとめ】
造血幹細胞移植後には,二次癌発症リスクが高まると報告されている。特に口腔癌,食道癌は,移植後の経過が長期であるほど,発症リスクが高いとされている。口腔発生の二次癌はほとんどが扁平上皮癌であり,われわれが渉猟し得た限りにおいて,今までに疣贅癌の報告はない。しかし,疣贅癌は扁平上皮癌の亜系であり,今後の移植件数増加に伴い,本症例と類似した二次癌発症もあり得る。これらを念頭に置き,移植後も経年的な口腔内診査が必要である。