一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

一般演題ポスター

口腔機能

口腔機能

2018年6月22日(金) 09:50 〜 16:50 ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-008] 超音波画像を用いた舌の厚さへの体位とプローブ保持方法の影響

○大久保 真衣1、杉山 哲也1、三浦 慶奈1、對木 將人1、石田 瞭1 (1. 東京歯科大学口腔健康学講座摂食嚥下リハビリテーション研究室)

【目的】
 近年,サルコペニアに関連して超音波診断装置を用いた舌の厚みを計測する研究が行われている。実際に臨床現場で要介護者の舌を計測する際,ベッド上で体位が傾斜していたり,プローブ固定装置を設置するのが困難な場合がある。そこでまず,若年健常成人を対象として,座位とセミファーラー位およびプローブ固定装置の有無で超音波診断装置を用いた舌の厚さの値に影響があるか検討を行った。
【方法】
 対象は平均年齢25.3歳の健康成人男性5名,女性8名とした。被験者は頭部を安定させ,体位を90度(座位)と30度(セミファーラー位)に変化させた。顎下部へのプローブの固定は,ヘッドギアを利用して保持するもの(固定装置あり)と手で保持するもの(固定装置なし)とした。計測は各条件で3回施行し,その平均値を舌の厚さとした。統計学的検討には,フリードマンの順位に基づく反復測定分散分析およびスピアマン検定を用いた。東京歯科大学倫理委員会の承認を得て行った(承認番号718)。
【結果と考察】
 舌の厚さは,90度・固定装置ありで48.5±6.8mm,30度・固定装置ありで48.9±7.9mm,90度・固定装置なしで49.3±6.3mm、30度・固定装置なしで50.0±7.7mmであった。各条件間で有意差はなかった。90度・固定装置ありと他の条件を比較したところ相関が認められた。これは若年健康成人であるために,30度の傾斜による舌の後方偏位が少なかったことが考えられる。また予めプローブ設置位置を再現性があるように規定しておけば,舌の厚みの計測値に大きな影響を与えないと考えられる。しかし要介護者では舌の筋力低下などの影響があるため,今後検討を加えていきたい。