The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

症例・施設

症例・施設

Fri. Jun 22, 2018 9:50 AM - 4:50 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-116] 関節リウマチ及び異常絞扼反射を有する患者に対して歯科治療を行った1症例

○宮原 琴美1、久保田 一政1、小原 万奈1、水口 俊介1 (1. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野)

【緒言】
 関節リウマチ(以下RA)とは複数の関節に慢性炎症が生じ,進行すると関節の骨が破壊される原因不明の疾患である。RA患者ではステロイド,抗リウマチ薬などによる免疫抑制,大量ステロイドによる骨粗鬆症予防としてのビスホスホネート(以下BP)製剤の使用などに注意が必要である。今回,抜歯・全顎的補綴治療を行い良好な結果が得られたので報告する。
【症例】
 67歳女性。既往歴:高血圧,子宮嚢胞,RA,異常絞扼反射。
【経過】
 多関節痛を訴え医学部付属病院を受診し,関節リウマチと診断され治療が開始された。同時期に口蓋に腫瘤が見つかり,当院を受診し,口腔外科にて精査した。結果左上2番慢性根尖性歯周炎によるものと診断された。口腔内精査を行い,予後不良歯6本の抜歯,補綴処置が必要と診断した。抜歯を行い,義歯を製作,セットした。当初は異常絞扼反射により,ほとんど義歯を使用できない状態であったが,徐々に反射が消失し,義歯使用,常食が可能となっている。
【考察とまとめ】
 本症例ではステロイド性の浮腫,BP製剤投与の可能性があり,口腔外科にて精査後,顎骨壊死のリスクと全身状態を考慮し,抜歯を行い可撤性の補綴処置に移行した。また異常絞扼反射により義歯の使用が困難と考えられたが,反射の重症度を考慮し義歯を作成し奏功した。本症例に限らず,高齢者はあらゆる全身疾患を抱えている可能性があり,全身疾患の状態変化を考慮したうえで最善の治療方針を選択することが重要である。