[P一般-068] 訪問歯科診療を想定した姿勢条件が術者の上肢筋活動と患者の頸部筋活動に及ぼす影響
【目的】
要介護者に対する訪問歯科診療では,患者も術者も無理な姿勢を強いられ疲労する。訪問歯科診療に適した作業姿勢等が提唱されるべきだが,有効な負担軽減策は未だ確立していない。成書によると,訪問歯科診療では,患者の頭頸部を安定させることなどを推奨しているが,その根拠となる客観的データや術者に対する効果は明らかになっていない。本研究の目的は,診療時の術者の姿勢や,患者への安頭台使用の有無が,患者の頸部と術者の上肢の筋活動にどのような影響を与えるかを明らかにすることとした。
【方法】
術者役として立位診療の経験がある男性歯科医師5名(平均年齢26.8歳),患者役として顎口腔機能に異常がない若年健常者5名を対象とした。作業姿勢は,歯科治療椅子条件(術者が座位で患者は仰臥位),安頭台あり・なしの車椅子条件(術者が立位で患者は座位)の3条件とした。各作業姿勢で術者は左手にバキュームを持ち,患者の右下6番咬合面に対し歯冠研磨を行った。術者の上肢と患者の頸部に電極を貼付して筋活動記録を行い,作業姿勢条件間で各筋の活動量の比較を行った。
【結果・考察】
患者の頸部筋の活動は,歯科治療椅子条件と比較して,安頭台あり車椅子条件ではほとんど変化しなかったが,安頭台なし車椅子条件では増加する傾向が認められた。術者の上肢の筋活動は,歯科治療椅子条件と比較して,車椅子条件では増加する傾向が認められたが,安頭台の有無による影響は認められなかった。これらのことから,車椅子治療においては,術者の上肢筋に大きな負荷がかかること,安頭台の使用は患者の頸部筋への負荷を軽減し得ることが示唆された。
要介護者に対する訪問歯科診療では,患者も術者も無理な姿勢を強いられ疲労する。訪問歯科診療に適した作業姿勢等が提唱されるべきだが,有効な負担軽減策は未だ確立していない。成書によると,訪問歯科診療では,患者の頭頸部を安定させることなどを推奨しているが,その根拠となる客観的データや術者に対する効果は明らかになっていない。本研究の目的は,診療時の術者の姿勢や,患者への安頭台使用の有無が,患者の頸部と術者の上肢の筋活動にどのような影響を与えるかを明らかにすることとした。
【方法】
術者役として立位診療の経験がある男性歯科医師5名(平均年齢26.8歳),患者役として顎口腔機能に異常がない若年健常者5名を対象とした。作業姿勢は,歯科治療椅子条件(術者が座位で患者は仰臥位),安頭台あり・なしの車椅子条件(術者が立位で患者は座位)の3条件とした。各作業姿勢で術者は左手にバキュームを持ち,患者の右下6番咬合面に対し歯冠研磨を行った。術者の上肢と患者の頸部に電極を貼付して筋活動記録を行い,作業姿勢条件間で各筋の活動量の比較を行った。
【結果・考察】
患者の頸部筋の活動は,歯科治療椅子条件と比較して,安頭台あり車椅子条件ではほとんど変化しなかったが,安頭台なし車椅子条件では増加する傾向が認められた。術者の上肢の筋活動は,歯科治療椅子条件と比較して,車椅子条件では増加する傾向が認められたが,安頭台の有無による影響は認められなかった。これらのことから,車椅子治療においては,術者の上肢筋に大きな負荷がかかること,安頭台の使用は患者の頸部筋への負荷を軽減し得ることが示唆された。