The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

症例・施設

症例・施設

Fri. Jun 22, 2018 9:50 AM - 4:50 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-099] 高齢者共同住宅の施設職員が連携して嚥下障害の対応に取り組み経口摂取可能となった一例

○木村 将典1,2,3、淺野 高生1,2、植田 耕一郎1 (1. 日本大学歯学部摂食機能療法学講座、2. 医療法人社団立靖会ラビット歯科札幌、3. 高崎総合医療センター歯科口腔外科)

【緒言】
 栄養士や看護師が不在で小規模な施設という環境の中で,施設の職員が連携して嚥下障害の対応に取り組んで経口摂取を可能にした一例を報告する。
【症例】
 69歳男性,身長170cm,体重45kg。平成27年5月に肺炎により入院し,入院中に体重減少を認め同年6月末梢点滴の栄養のまま高齢者共同住宅に退院となる。既往歴は平成20年に脳梗塞,平成24年にアルツハイマー型認知症の診断を受ける。入院前はむせながらも常食を自食していた。口腔内は残存歯が少なく,義歯は装着していない。
【経過】
 初診時より末梢点滴と併用しゼリーによる直接訓練を開始した。1ヵ月後,末梢点滴が終了し,同時にペースト食での訓練が可能となったが,当施設でペースト食の調理は難しかった。また,栄養量の目安を1,100kcal/日としたが栄養摂取量の把握も困難であった。そのため市販介護食のレトルト食材を使用し,摂取した栄養量を記載するよう指示した。当院診療時に指示した一口量,食事ペース等の介助方法,UDF区分の意義や栄養の重要性等を説明した。栄養士不在の施設でありながら栄養への関心が高まり,診療内容について全職員が自主的に共有した。
【結果・考察】
 現在UDF区分3の食材まで摂取可能となり,今後さらなる食形態の向上を図るため義歯を新製した。現在も食事内容と栄養の指導を中心に継続して介入し,1,500kcal/日程度を摂取し体重も58kgまで増加した。食事介助方法や栄養的な指導を行うことが嚥下障害のリハビリには必要であり,その施設に合わせて実施しやすい指示を行うことが重要である。そして,本症例では職員の熱意が経口摂取を可能にした大きな要因となったと考えられる。