The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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共催:株式会社松風

[SO1-1] 高齢者歯科医療へのバイオアクティブ戦略の展開 ~S-PRGフィラー/Giomerを用いた根面う蝕抑制への新しい提案~

○梶 美奈子1 (1. 北海道医療大学病院 歯科衛生部)

【略歴】
1987年:
東日本学園大学歯学部附属歯科衛生士専門学校 卒業
1987年:
東日本学園大学歯学部附属病院
1999年:
佛教大学社会学部(通信教育学部)卒業
2003年:
北海道医療大学病院
2013年:
同 歯科衛生士長

現在、日本は8020達成者が50%を超え、平均寿命も男女共80歳以上にまで延伸するなど超高齢者社会を迎えている。また平成28年歯科疾患実態調査によると65歳以上の高齢者において、義歯装着者割合の減少やう蝕有病者率の増加、そして平均残存歯数の増加等の傾向も認められる。さらに高齢者においては筋力の衰えによるブラッシング清掃効率の低下、薬の副作用や咬合力の低下による唾液分泌量の減少、そして歯肉退縮により露出した根面のう蝕や歯周病のリスク増加等、今まで健康状態を保っていた口腔内環境が加齢と共に変化することが大きな特徴と言える。「口からものを食べる機能の維持・向上」という観点から義歯は大きな役割を担ってきたものの、その一方で高齢者の口腔内変化により義歯の存在がプラークリテンションファクターの一つになることも否定できず、特に口腔カンジダ症や部分床義歯の装着時における鉤歯の根面う蝕等の発症には注意を払う必要がある。そのためには定期的なプロフェッショナルケアと良好なセルフケアの実施が不可欠となるが、それらのみに頼るのではなく様々な状況やリスクを考慮に入れた予防的な視点からの材料選択とそれを用いた処置・治療が重要となる。

松風社は外部環境との平衡関係により6種類のマルチイオンを徐放し、また取り込みも可能なS-PRGフィラーを独自開発し、このフィラーの効果により様々なバイオアクティブ効果が発現することが歯科専門領域を限定することなく多くの研究機関から報告されている。このS-PRGフィラーを応用した予防的機能を有した歯科関連材料群の総称を“Giomer(ジャイオマー)”と提案しており、口腔内環境の健全化と歯の延命に寄与できるという観点から高齢者歯科医療への応用・展開が期待される。

そこで本セッションではマルチイオン徐放によるバイオアクティブ効果を発現するGiomerファミリーの中でも高齢者医療に応用可能な歯面研磨ペースト“PRGプロケアジェル”と歯面コーティング材“PRGバリアコート”の臨床的有用性と臨床応用におけるポイントをハンズオンも含めながらご紹介する所存である。本セッションを受講頂いた歯科医師・歯科衛生士の方々にとって高齢者歯科領域において今後さらに深刻化する根面う蝕を予防又は抑制する方策の一助になれば幸いである。