The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食機能療法専門歯科医師審査ポスター

ライブ

摂食審査ポスターG1

Sat. Nov 7, 2020 8:30 AM - 10:40 AM B会場

[摂食P-07] 脳出血後の胃瘻造設患者に対して訪問診療で経口摂取を試みた1例

○小林 健一郎1 (1. こばやし歯科クリニック)

【目的】

脳血管疾患後において嚥下障害は高頻度で出現する。今回、脳出血後の嚥下障害のため胃瘻造設した患者に訪問診療で経口摂取を試みた1例を経験したので報告する。

【症例及び処置】

83歳、女性。平成22年に脳出血の既往があり、経口摂取を行なっていたが、平成28年に脳出血を再発し、嚥下障害が出現した。そのため胃瘻を造設後、退院し、特別養護老人ホームに入居した。家族より「口から食べさせたい」という要望があり、平成29年10月に当院が介入を開始した。初診時の身長は146cm、体重は62.9kgであり、BMIは29.5であった。ADLは、要介護度5、modified rank scale 5と身体障害を認め、認知症高齢者の日常生生活自立度はⅣであり、認知機能低下も認めた。栄養は胃瘻より1200kcal摂取しており、経口摂取は行なっていなかった。リクライニング45度で嚥下内視鏡 (VE) を行なったところ嚥下反射遅延が顕著に認められ、摂食を繰り返すうちに少量の不顕性誤嚥を認めた。ホワイトアウトは観察され軟口蓋の閉鎖不全はなかったが、咽頭残留は喉頭蓋谷、梨状窩の両方に認められた。そのためアイスマッサージと嚥下関連筋群の筋力強化訓練を指導した。2ヶ月後にゼリーを検査食としてVEを行なったが、深い高頭侵入があり、間接訓練継続に止まった。4ヶ月後に、ゼリーを検査食としてVEを行なったところ、喉頭蓋谷に残留を認めるものの誤嚥、喉頭侵入なく摂取可能であったため、歯科衛生士が週1日訪問した際にゼリーを使用した直接訓練を指導した。以降、週1日のゼリー摂取を継続しており、誤嚥性肺炎の兆候なく経過している。

【結果と考察】

VEでホワイアウトが観察されており、軟口蓋の閉鎖も可能であった。そのため、脳出血を繰り返しているが、偽性球麻痺は生じておらず、嚥下関連筋群の廃用症候群が原因であると考えられた。退院後も継続した摂食嚥下リハビリテーションが重要であることが示唆された。