[認定P-07] 延髄外側症候群後の遷延した嚥下障害に対応した一症例
【緒言】延髄外側症候群(ワレンベルグ症候群)は,延髄背外側の解剖学的特徴に基づいて多様な神経症状を示し,球麻痺症状を主体とした嚥下障害は50%以上に生じると報告されている.今回,遷延した重度嚥下障害に対し,間接訓練および歯科補綴的な対応を行うことで経口摂取レベルが改善した一症例を報告する.
【症例】患者は67歳男性,当院の初診より約3年半前に右側の延髄外側梗塞を発症,球麻痺を伴う重度嚥下障害をきたし,発症2か月後には胃瘻が造設された.以降,他院にて間接訓練を継続したが楽しみレベルの経口摂取から改善されず,嚥下機能評価および今後の加療方針の検討を主訴に当科を紹介にて受診となった.初診時嚥下機能評価では,軽度気息性嗄声,開鼻声,右顔面運動不良あり.軟口蓋挙上の右側不良および口蓋垂の左偏位を認めた.また,口腔内は欠損歯が多数あり,Eichiner分類でC2,義歯未装着の状態であった.なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている.
【経過】初診より8日目に嚥下造影検査を実施し,咽頭収縮の不良および食道入口部の開大不全に伴う食塊の咽頭残留が認められ,右側の運動感覚障害を伴う嚥下障害と診断した.患側回旋位での嚥下直接訓練の継続,間接訓練としてバルーン訓練を継続する方針とした.歯科治療として保存不可能な残根歯の抜歯および上下顎に可徹性補綴装置を製作開始,初診より3か月目に装着した.1か月程度の義歯の調整後,咀嚼機能評価を実施したところ,112 mg/ml(グルコセンサー GS-II)であった.また,初診より4か月目に嚥下造影検査で再評価を行い,嚥下動態の改善が確認された.また嚥下造影検査と同時に撮影した筋電図検査の所見から,義歯装着時において,舌骨上筋群の筋活動時間の短縮や嚥下時の舌骨位の挙上が確認された.更に頸部回旋位を併用して患側へのバルーンカテーテルを適応することで,患側の食塊通過が得られるようになった.以降,直接訓練食の内容と量の増加,経管栄養量の漸減を図ることができた.
【考察】延髄外側症候群の患者に対して,バルーン訓練の際に頸部回旋を併用することで効果的なリハビリテーションを行うことができた.更に,可徹性補綴装置の装着を行った結果,咀嚼機能の改善や嚥下時の下顎位の保持が可能となったことが嚥下機能改善につながったと考えられた.
【症例】患者は67歳男性,当院の初診より約3年半前に右側の延髄外側梗塞を発症,球麻痺を伴う重度嚥下障害をきたし,発症2か月後には胃瘻が造設された.以降,他院にて間接訓練を継続したが楽しみレベルの経口摂取から改善されず,嚥下機能評価および今後の加療方針の検討を主訴に当科を紹介にて受診となった.初診時嚥下機能評価では,軽度気息性嗄声,開鼻声,右顔面運動不良あり.軟口蓋挙上の右側不良および口蓋垂の左偏位を認めた.また,口腔内は欠損歯が多数あり,Eichiner分類でC2,義歯未装着の状態であった.なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている.
【経過】初診より8日目に嚥下造影検査を実施し,咽頭収縮の不良および食道入口部の開大不全に伴う食塊の咽頭残留が認められ,右側の運動感覚障害を伴う嚥下障害と診断した.患側回旋位での嚥下直接訓練の継続,間接訓練としてバルーン訓練を継続する方針とした.歯科治療として保存不可能な残根歯の抜歯および上下顎に可徹性補綴装置を製作開始,初診より3か月目に装着した.1か月程度の義歯の調整後,咀嚼機能評価を実施したところ,112 mg/ml(グルコセンサー GS-II)であった.また,初診より4か月目に嚥下造影検査で再評価を行い,嚥下動態の改善が確認された.また嚥下造影検査と同時に撮影した筋電図検査の所見から,義歯装着時において,舌骨上筋群の筋活動時間の短縮や嚥下時の舌骨位の挙上が確認された.更に頸部回旋位を併用して患側へのバルーンカテーテルを適応することで,患側の食塊通過が得られるようになった.以降,直接訓練食の内容と量の増加,経管栄養量の漸減を図ることができた.
【考察】延髄外側症候群の患者に対して,バルーン訓練の際に頸部回旋を併用することで効果的なリハビリテーションを行うことができた.更に,可徹性補綴装置の装着を行った結果,咀嚼機能の改善や嚥下時の下顎位の保持が可能となったことが嚥下機能改善につながったと考えられた.