The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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優秀ポスター

ライブ

優秀ポスター賞(DH)

Sun. Nov 8, 2020 11:30 AM - 12:45 PM A会場

[優秀P衛生-05] 緩和ケアチーム対象の終末期入院患者における口腔環境の横断調査

○越谷 寧1、古屋 純一1、鈴木 啓之2、日髙 玲奈1、鈴木 瞳3、松原 ちあき2、中川 量晴2、中根 綾子2、戸原 玄2、水口 俊介2 (1. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科地域福祉・口腔機能管理学分野、2. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野、3. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科口腔健康教育学分野)

【目的】わが国では療養生活が長期にわたる高齢者が増加しており、死因の第一位が悪性腫瘍であること、また人生の終末期には全人的苦痛が生じやすいことを考慮すると、高齢者歯科医療においても緩和ケアは重要である。特に終末期には口腔乾燥等の口腔の問題が生じやすく、緩和ケアチーム等、多職種協働への歯科の参画が求められているが、その科学的根拠は十分ではない。そこで本研究では、緩和ケアチーム対象となった終末期入院患者を対象とした横断調査を行い、口腔環境や食事摂取の状況を明らかにすることを目的とした。

【方法】2017年4月から2019年8月までに、某病院で緩和ケアチームの対象となった入院患者のうち、患者・家族・看護師から口腔の問題に関する訴えがあった100名を対象とした。調査項目は、基礎情報、JCS(Japan Coma Scale)、PS(Performance Status)、OHAT(Oral Health Assessment Tool)、DSS(Dysphagia Severity Scale)、FOIS(Functional Oral Intake Scale)とした。各項目について統計学的分析を行った。有意水準はすべて5%とした。

【結果と考察】対象者は男性56名、女性44名、平均年齢74.0歳で、原疾患は悪性腫瘍がほとんどを占めた。全体の85%はJCSⅠ桁であったが、全体の49%がPS4と、多くの患者で覚醒は良いが日常活動が制限されていた。OHAT合計点の平均値は5.7点であり、舌、歯肉・粘膜、唾液、口腔清掃の項目で不良な状態を多く認めた。また、全体の約50%の患者に誤嚥を認め、経口摂取を行っていない者を約40%認めた。さらに、JCS・PSとDSS・FOISとの間に負の相関、JCS・PSとOHATとの間に正の相関を認めた。また、逝去までの日数とJCS・PS・OHATとの間に負の相関を、逝去までの日数とDSS・FOISとの間に正の相関を認めた。以上より、緩和ケアが必要な終末期入院患者のうち、口腔の問題を訴える者は高齢のがん患者が多く、口腔環境は悪化しており、推定予後、意識、身体機能、嚥下機能を考慮しながら、口腔環境の整備や食事摂取の支援を行い、QOL向上に貢献することの重要性が示唆された。

(COI 開示:なし)
(東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会承認 D2016-077)