[認定P-37] 多職種連携を行い,栄養状態の改善が得られた症例
【緒言】超高齢社会を迎えた近年では,病院での急性期のみならず,在宅や施設における医療の充実が求められている.今回,施設において多職種連携を行い,嚥下診察を行い,入院時に指示された食事制限を解除し,栄養状態が改善した一例を経験したので報告する.
【症例】患者は99歳女性,2018年3月,施設入居に伴い,口腔ケア及びに口のねばつきを主訴に初診となった.口腔内は上顎総義歯,下顎には部分床義歯を装着しており,適合状態,咬合状態は良好,やや粘性の唾液は認めるものの,口腔乾燥状態も軽度でであった.患者の家族の希望により,月1回の口腔ケア,検診を行うこととなった.その後,2019年4月15日,肺炎及びに心筋梗塞にて入院し,4月26日に退院された.入院した病院より,ミキサー食をお楽しみ程度に摂取するよう指示があったが,形あるものを食べたいという患者自身の強い希望により,ミキサー食を拒否し食事を取らず,退院後体重も減少傾向にあった.なお,本報告の発表について患者の家族から文書による同意を得ている.
【経過】退院後も,義歯の適合,咬合状態は良好であった.患者の家族と相談の上,月に4回,口腔ケア及びに機能訓練を行い,口腔機能の維持に努めた.施設における主治医,看護師,栄養士と相談の上,患者の希望であるバナナを,看護師立会いの下,摂食確認を行うこととなった.食塊形成は良好,また,頸部聴診より,嚥下音,嚥下後の呼気音に異常は認めなかった.バナナ摂取後も,口腔ケア,機能訓練を継続し,主治医,看護師より誤嚥性肺炎の症状がないことを確認した.その後,患者はミキサー食も含めて,食事を徐々に取るようになり,体重は27.9kgから33.6kgに,血中アルブミン値は2.8から3.4g/dlに増加し,栄養状態は改善した.体力がついてきたことより,再度主治医,看護師,栄養士,家族と相談し,徐々に食事形態を上げ,最終的には入院前と同様の軟菜,軟食まで改善し,患者も毎食全量摂取するようになった.誤嚥性肺炎の再発も認めず,経過は良好である.
【考察】本症例は,多職種連携を行い,慎重な嚥下評価の結果,適切な食形態への回復が可能であった.患者の栄養状態の改善を達成し,誤嚥性肺炎のリスクとなる口腔内のプラークを可及的に減少させることにより,結果として誤嚥性肺炎の再発予防につながったと考えられる.
【症例】患者は99歳女性,2018年3月,施設入居に伴い,口腔ケア及びに口のねばつきを主訴に初診となった.口腔内は上顎総義歯,下顎には部分床義歯を装着しており,適合状態,咬合状態は良好,やや粘性の唾液は認めるものの,口腔乾燥状態も軽度でであった.患者の家族の希望により,月1回の口腔ケア,検診を行うこととなった.その後,2019年4月15日,肺炎及びに心筋梗塞にて入院し,4月26日に退院された.入院した病院より,ミキサー食をお楽しみ程度に摂取するよう指示があったが,形あるものを食べたいという患者自身の強い希望により,ミキサー食を拒否し食事を取らず,退院後体重も減少傾向にあった.なお,本報告の発表について患者の家族から文書による同意を得ている.
【経過】退院後も,義歯の適合,咬合状態は良好であった.患者の家族と相談の上,月に4回,口腔ケア及びに機能訓練を行い,口腔機能の維持に努めた.施設における主治医,看護師,栄養士と相談の上,患者の希望であるバナナを,看護師立会いの下,摂食確認を行うこととなった.食塊形成は良好,また,頸部聴診より,嚥下音,嚥下後の呼気音に異常は認めなかった.バナナ摂取後も,口腔ケア,機能訓練を継続し,主治医,看護師より誤嚥性肺炎の症状がないことを確認した.その後,患者はミキサー食も含めて,食事を徐々に取るようになり,体重は27.9kgから33.6kgに,血中アルブミン値は2.8から3.4g/dlに増加し,栄養状態は改善した.体力がついてきたことより,再度主治医,看護師,栄養士,家族と相談し,徐々に食事形態を上げ,最終的には入院前と同様の軟菜,軟食まで改善し,患者も毎食全量摂取するようになった.誤嚥性肺炎の再発も認めず,経過は良好である.
【考察】本症例は,多職種連携を行い,慎重な嚥下評価の結果,適切な食形態への回復が可能であった.患者の栄養状態の改善を達成し,誤嚥性肺炎のリスクとなる口腔内のプラークを可及的に減少させることにより,結果として誤嚥性肺炎の再発予防につながったと考えられる.