The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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教育講演

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【質疑応答・ディスカッション】高齢者に多い口腔粘膜疾患、チェアーサイドでの診断と対応~口腔がんの早期発見も含めて~

Sat. Nov 7, 2020 2:00 PM - 2:10 PM A会場

座長:田中 彰(日本歯科大学新潟生命歯学部 口腔外科学講座)

[EL2] 高齢者に多い口腔粘膜疾患 チェアーサイドでの診断と対応~口腔がんの早期発見も含めて~

○片倉 朗1 (1. 東京歯科大学 口腔病態外科学講座)

【略歴】
1985年:
東京歯科大学卒業
1991年:
東京歯科大学大学院修了(歯学博士)
2003年~2004年:
UCLA歯学部口腔外科・医学部頭頸部外科に留学
2008年:
東京歯科大学 口腔外科学講座准教授
東京歯科大学大学院「がんプロフェッショナル養成プラン」コーディネーター
2011年4月:
東京歯科大学 オーラルメディシン・口腔外科学講座 教授
2015年4月:
東京歯科大学 口腔病態外科学講座 教授
2019年6月:
東京歯科大学水道橋病院 病院長

【所属学会等】
(公)日本口腔外科学会指導医、(公)日本老年歯科医学会指導医、(社)日本口腔診断学会指導医、(社)日本顎顔面インプラント学会指導医、(社)日本有病者歯科医療学会指導医、(社)日本口腔腫瘍学会暫定指導医 、(社)日本顎関節学会暫定指導医、(社)日本小児口腔外科学会指導医、(社)日本口腔内科学会指導医、(社)日本感染症学会 インフェクション コントロール ドクター など

加齢が進むと全身的な生理的機能が低下するとともに口腔・顎・顔面領域にもその変化が顕著に現れます。その代表的なものは口腔機能低下症の診断要点になっている7つの項目です。また、腸管粘膜の大きな役割の一つは粘膜免疫ですが、口腔粘膜にも免疫機構が存在し加齢とともに上皮は菲薄となり、上皮内の免疫機能も低下することが免疫組織化学的にも分かっています。さらに唾液の分泌量低下に伴う自浄作用の低下は免疫力の低下と口腔環境の悪化を助長します。さらにいわゆる5疾患等で処方されて長期にわたり服用している薬剤は口腔粘膜に副次的な作用を及ぼすこともあります。このようなことが要因となって、高齢者は口腔粘膜に様々な症候や疾患を呈することが多くなります。

また、いずれの臓器でも加齢とともにがんの罹患者は増加します。口腔がんも同様でここ30年間で増加傾向を認めますが、その中で高齢者の口腔がん患者も顕著に増加しています。国民生活基礎調査では、70歳以降で歯科的問題を有する人数が急激に増加する一方で、同じ集団が80歳以上になると歯科診療所等への受診が極端に減少します。このことが高齢者で口腔がんの早期発見がしにくくしている要因の一つではないかと考えています。

今回は口腔粘膜疾患を中心として以下についてチェアーサイドでの一助となる内容を講演する予定です。
口腔粘膜の加齢の科学口腔カンジダ症、口腔扁平苔癬など代表的な口腔粘膜疾患の鑑別と治療治療薬による口腔粘膜へ副作用とその対処口腔潜在的悪性疾患(oral potentially malignant disorders:OPMD)、早期がんの鑑別について