The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食嚥下若手企画ミニシンポジウム

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自分の将来をどう決める? ~新規出発した診療科の実情~

座長:大岡 貴史(明海大学歯学部機能保存回復学講座摂食嚥下リハビリテーション学分野)、飯田 貴俊(神奈川歯科大学 全身管理医歯学講座 全身管理高齢者歯科学)

[MSY3-1] 医科から求められる“歯科医師”とは?~歯科がリーダーシップをとるための挑戦~

○大橋 伸英1 (1. 横浜市立大学附属病院 歯科・口腔外科・矯正歯科/周術期管理センター/リハビリテーション部)

【略歴】
2011年3月:
北海道大学歯学部 卒業
2011年4月:
横浜市立大学附属病院 歯科・口腔外科・矯正歯科 初期研修医
2013年4月:
横浜市立大学大学院医学研究科顎顔面口腔機能制御学 入学
2018年4月:
横浜市立大学附属病院 周術期管理センター 副センター長
2019年3月:
横浜市立大学大学院医学研究科顎顔面口腔機能制御学 卒業
2019年4月:
横浜市立大学附属病院 歯科・口腔外科・矯正歯科/周術期管理センター(専任)/ 助教・副センター長
2020年4月:
横浜市立大学附属病院 歯科・口腔外科・矯正歯科/周術期管理センター(専任)/リハビリテーション部(兼任) 助教・副センター長

2016年度歯科医師臨床研修修了者アンケート調査によると,臨床研修を終了した歯科医師は10年後の働き方として,歯科診療所に勤務する半数以上が予想している。一方,歯科大学以外の大学附属病院や総合病院での勤務を予想する歯科医師は少数である。

医科歯科連携の重要性が昨今謳われるようになってきたが,医師や看護師などのメディカルスタッフとの連携を不得手とする歯科医師が多い。連携をうまく行うために必要な歯科医師のスキルはメディカルスタッフと双方向で対話できることである。また,医科的な全身評価の一部として口腔顎顔面領域の評価・アセスメントを行うことが歯科医師に求められ,歯科医師の医学知識の拡充が重要となってくる。今後,多数の基礎疾患を抱え,多剤内服している有病者に対し安全な歯科医療を提供するという社会的なニーズがさらに高まる中で,これからの若手の歯科医師は,医科とどのような連携が可能か,どのような新たな挑戦ができるかを考えなければならない時期に来ている。

今回,私は医科大学附属病院の中で2つの医科歯科連携に関する新規事業(周術期管理センターと摂食嚥下リハビリテーション部門)の立ち上げにかかわる機会を得た。医科大学附属病院や総合病院では,医師・看護師・薬剤師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士・社会福祉士・事務職などの専門性の高い多職種が勤務している。当院の周術期管理センターは,周術期にかかわるスタッフだけでなく入退院支援にかかわる医療スタッフとも密に連携していることが特徴である。一人の患者に対し周術期管理センタースタッフはそれぞれの専門職が互いに意思疎通を図り自己の専門領域を超えできることは積極的にカバーしながら協働するtransdiscipilinary teamとして動いている。現在の周術期管理センター運用までには時間を要したが,構想ができた当初から歯科医師が運営の鍵を握っていた。また,摂食嚥下においては当院では摂食嚥下チームとして院内チーム活動を行うのではなく,診療科に類似した摂食嚥下リハビリテーション部門として2020年4月に新規に立ち上げた。
本講演では,周術期管理センター,摂食嚥下リハビリテーション部門の設立に至るまでの経緯・実情を述べる。今後の進路を模索し決めていく際に,この内容が若手歯科医師の新たな挑戦の糸口となれば幸いである。