[O一般-005] 地域高齢者における現在歯数および最大咬合力と要介護認定との関連
【目的】
これまでの報告より口腔保健と要介護認定との関連についての知見は蓄積されており,高齢期における現在歯数および咬合力の低下は健康長寿を阻害する因子であることが示されてきた。現在歯数と咬合力は強い相関を示す一方で、高齢者の中には現在歯数が多いにも拘わらず咬合力を発揮できない者や、反対に多数歯が欠損したとしても良好な補綴装置により充分な咬合力を発揮できる者も少なくない。本研究では,口腔の形態的指標として現在歯数,機能的指標として最大咬合力に着目し,両者から成る複合指標と要介護認定との関連を,地域高齢者を対象とした前向きコホート研究にて検討した。
【方法】
対象は2003年に仙台市鶴ケ谷地区にて総合健診を受診した70歳以上地域高齢者のうち,口腔指標に欠損がない815名とした。曝露因子は口腔機能低下症の基準をもとに現在歯数20歯以上の有無および咬合力200N以上の有無の組み合わせ(20歯以上かつ咬合力200N以上,20歯未満または咬合力200N未満,20歯未満かつ咬合力200N未満)とした。アウトカムは2011年までの要介護認定の初回発生とし,Cox比例ハザード分析を用いて曝露因子各群における要介護認定の相対危険度を算出した。共変量は,年齢,性別,疾患既往歴(高血圧,心筋梗塞,脳卒中),喫煙,飲酒,身体活動,認知機能,抑うつ傾向,教育歴,ソーシャルサポート,歯科定期受診の有無とした。
【結果と考察】
多変量Cox比例ハザード分析の結果,現在歯数20歯以上かつ咬合力200N以上群を基準とした相対危険度(95%信頼区間)は,20歯未満または咬合力200N未満群は1.35 (0.98–1.85), 20歯未満かつ咬合力200N未満群は1.62 (1.18–2.21)を示し,現在歯数および咬合力の両者が低値であると要介護認定の相対危険度は有意に高値を示した(P for trend = 0.003)。本結果より,口腔の形態および機能の両者が不良であることは,それら単体の低下と比較しても,要介護発生の大きなリスク因子であることが示された。要介護リスクを増大させないためには,口腔の形態と機能の両者を評価し,適切に維持・回復することが重要であることが示された。
(COI開示:なし)
(東北大学大学院医学系研究科研究倫理委員会承認番号 2002-040 2017-1-312)
これまでの報告より口腔保健と要介護認定との関連についての知見は蓄積されており,高齢期における現在歯数および咬合力の低下は健康長寿を阻害する因子であることが示されてきた。現在歯数と咬合力は強い相関を示す一方で、高齢者の中には現在歯数が多いにも拘わらず咬合力を発揮できない者や、反対に多数歯が欠損したとしても良好な補綴装置により充分な咬合力を発揮できる者も少なくない。本研究では,口腔の形態的指標として現在歯数,機能的指標として最大咬合力に着目し,両者から成る複合指標と要介護認定との関連を,地域高齢者を対象とした前向きコホート研究にて検討した。
【方法】
対象は2003年に仙台市鶴ケ谷地区にて総合健診を受診した70歳以上地域高齢者のうち,口腔指標に欠損がない815名とした。曝露因子は口腔機能低下症の基準をもとに現在歯数20歯以上の有無および咬合力200N以上の有無の組み合わせ(20歯以上かつ咬合力200N以上,20歯未満または咬合力200N未満,20歯未満かつ咬合力200N未満)とした。アウトカムは2011年までの要介護認定の初回発生とし,Cox比例ハザード分析を用いて曝露因子各群における要介護認定の相対危険度を算出した。共変量は,年齢,性別,疾患既往歴(高血圧,心筋梗塞,脳卒中),喫煙,飲酒,身体活動,認知機能,抑うつ傾向,教育歴,ソーシャルサポート,歯科定期受診の有無とした。
【結果と考察】
多変量Cox比例ハザード分析の結果,現在歯数20歯以上かつ咬合力200N以上群を基準とした相対危険度(95%信頼区間)は,20歯未満または咬合力200N未満群は1.35 (0.98–1.85), 20歯未満かつ咬合力200N未満群は1.62 (1.18–2.21)を示し,現在歯数および咬合力の両者が低値であると要介護認定の相対危険度は有意に高値を示した(P for trend = 0.003)。本結果より,口腔の形態および機能の両者が不良であることは,それら単体の低下と比較しても,要介護発生の大きなリスク因子であることが示された。要介護リスクを増大させないためには,口腔の形態と機能の両者を評価し,適切に維持・回復することが重要であることが示された。
(COI開示:なし)
(東北大学大学院医学系研究科研究倫理委員会承認番号 2002-040 2017-1-312)