The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(口演・誌上開催)

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実態調査

[O一般-030] レセプト情報・特定健診等情報データベースを用いた歯数とアルツハイマー型認知症との関連

○恒石 美登里1、山本 龍生2、山口 武之1,3、小玉 剛3、佐藤 保3 (1. 日本歯科総合研究機構、2. 神奈川歯科大学大学院歯学研究科災害医療・社会歯科学講座、3. 日本歯科医師会)

【目的】

 国内外の疫学研究によって、歯数と認知症との関係が明らかになってきた。本研究では、これらの関連をビッグデータで確認するために、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて、歯周炎病名の歯式から推計した現在歯数および欠損歯病名から得られた欠損歯数とアルツハイマー型認知症との関連を検討した。

【方法】

 厚生労働省より貸与を受けたNDBのなかから、2017年4月診療分の歯周炎病名および欠損歯(病名を持つ60歳以上の歯科レセプト(それぞれ4,009,345名分、662,182名分)の2種類のデータ群を抽出し、それらに対して、同月診療分のアルツハイマー型認知症病名の医科レセプト情報を結合した。基礎統計を集計したうえで、アルツハイマー型認知症による医科受診の有無を目的変数とし、性、年齢群、現在歯数または欠損歯数を同時投入したロジスティック回帰分析を行った。統計分析にはSPSS 22.0 for Windows(IBM Japan、東京)を使用した。

【結果および結論】

 女性の方が男性よりも、年齢が高い者ほど、現在歯数が少ない者ほど、そして欠損歯数が多い者ほど、それぞれアルツハイマー型認知症による医科受診者割合が高く、それらの関係は有意であった(p<0.001)。歯周炎病名の対象者では、20~28歯を基準として、10~19歯および1~9歯のオッズ比がそれぞれ1.11(95%信頼区間:1.10~1.13、p<0.001)および1.34(95%信頼区間:1.32~1.37、p<0.001)であった。欠損歯数病名の対象者では、1~13欠損歯を基準として、14~27欠損歯および28欠損歯のオッズ比がそれぞれ1.40(95%信頼区間:1.36~1.44,p<0.001)および1.81(95%信頼区間:1.74~1.89,p<0.001)であった。歯周炎病名および欠損歯病名で歯科を受診した高齢者において、現在歯数の少ない者ほど、欠損歯数の多い者ほど医科医療機関でアルツハイマー病名の受診が多いことが明らかとなった。

【倫理審査】日本歯科医学会倫理審査委員会(2018年9月5日、010番)