The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(口演・誌上開催)

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加齢変化・基礎研究

[O一般-037] 慢性期摂食嚥下障害患者の摂食嚥下関連筋と四肢骨格筋および体幹の筋量との関連

○奥村 拓真1、原 豪志1、中川 量晴1、並木 千鶴1、石井 美紀1、玉井 斗萌1、長澤 祐季1、吉澤 彰1、吉見 佳那子1、山口 浩平1、中根 綾子1、戸原 玄1 (1. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野)

【目的】
 高齢者において嚥下関連筋群は四肢骨格筋より体幹の筋肉量の関連が強いと報告されている。また嚥下機能と体幹保持機能が関連していることも明らかとなっている。一方で摂食嚥下障害をもつ要介護高齢者では全身の筋量と嚥下関連筋群の筋量との関連性は不明である。本研究は慢性期における摂食嚥下障害のある要介護高齢者の四肢骨格筋・体幹の筋量と嚥下関連筋との関連を明らかにすることを目的とした。
【方法】
 当科で訪問診療を行う摂食嚥下障害をもつ要介護高齢患者118名(男性28名,女性90名,平均年齢85.83±8.18歳)を対象とした。性別や年齢といった基礎情報、栄養状態をBMI(Body Mass Index)、ADLをBI(Barthal Index),嚥下機能をFOIS(Functional Oral Intake Scale)で評価した。嚥下関連筋群の量的評価として、超音波診断装置(レキオ・パワー・テクノロジー社)を用いてオトガイ舌骨筋の矢状断面積を計測した。また四肢骨格筋量としてASMI(Appendicular Skeltal Muscle Index)、体幹筋量としてTMI(Trunk Muscle Index)をInBody S10(Inbody Japan社)を用いて測定した。統計は、オトガイ舌骨筋の筋量を従属変数に年齢、性別、BMI、BI、FOIS、ASMIまたはTMIを独立変数として重回帰分析を行った。
【結果と考察】
 重回帰分析により年齢と性別を調整した結果、オトガイ舌骨筋に対する有意な説明変数は、ASMI(β=0.291,p<0.05)、FOIS(β=0.346,p<0.01)であった。R=0.536、調整済みR2=0.310であった。要介護高齢者のオトガイ舌骨筋の筋量は、加齢や性別、要介護度の影響を受けず、嚥下機能と関連しており、体幹よりも四肢の筋肉量と関連していることが示唆された。男女における身体の筋組成や解剖学的な差異を考慮すると、男女別の検討が必要となるため、今後は症例数を増やし、男女別にTMI、ASMIと嚥下関連筋群の関係を明らかにしていきたい。
(東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会 承認番号:D2018-015)