[O一般-052] 義歯に付着するカンジダに関する臨床的検討(第3報)
【目的】レジン製義歯は,口腔カンジダのリザーバーとされている。義歯へのカンジダ付着の関連因子が把握できれば高齢者の義歯管理に役立ち,ひいては義歯性口内炎や誤嚥性肺炎の予防にも寄与すると考えられる。第2報の研究では,カンジダが新義歯に付着するまでの期間とその関連因子を検討した。新義歯装着時に口内にカンジダが既に保菌されていると,ほとんどの症例が,1か月で義歯粘膜面にカンジダが付着し,逆に保菌されていない場合は1年後も付着は認めなかった。その他の関連因子としては,口腔乾燥・義歯清掃不良であった。そこで今回の研究では,この3つの関連因子のなかで介入可能な義歯の清掃管理を患者に義務づけることで,義歯へのカンジダ付着予防に効果があるかを検証した。
【対象および方法】対象:当科で口蓋全体を被覆する新製上顎義歯を製作・装着後に,半年間に亘って定期的に経過観察が可能であった22例を介入群(毎回,義歯清掃・管理指導):男性8例,女性14例,平均年齢72歳と,非介入群(第2報の対象)の32例:男性11例,女性21例,平均年齢69歳を比較検討した。
方法:新義歯装着時およびその後1・3・6か月に①義歯粘膜面,②義歯床下粘膜,③口内リンス液の3種から検体を採取し,クロモアガー培地で35度48時間培養後,菌種とコロニー数(CFU/ml)を測定し,義歯粘膜面のカンジダ付着の有無と関連因子を検討した。
関連因子)年齢,性別,既往疾患,常用薬剤数,安静時唾液分泌量,柿木分類,義歯の既往,下顎残存歯の有無,義歯装着時のカンジダ保菌の有無,口腔内一般細菌数
義歯清掃・管理指導に関しては①デンチャープラーク除去時歯磨剤を使用しない,②バイオフィルム除去後毎日洗浄剤に浸漬する,③就寝時は義歯を外し, 水中に保管することを指導した。
【結果と考察】結果:新義歯装着時のカンジダ保菌率を含めすべての関連因子において2群間に差は認めなかった。しかし,新義歯装着6か月間におけるカンジダの義歯粘膜面への検出率は,介入群22例中4例(18.2%)で非介入群32例中18例(56.2%)と比べ有意に減少した(p = 0.005)。新義歯装着に際し適切な義歯管理指導を行い継続することは,義歯へのンジダ付着予防に極めて有効だと考えられた。
(北大病院自主臨床研 018-0277)(COI開示:なし)
【対象および方法】対象:当科で口蓋全体を被覆する新製上顎義歯を製作・装着後に,半年間に亘って定期的に経過観察が可能であった22例を介入群(毎回,義歯清掃・管理指導):男性8例,女性14例,平均年齢72歳と,非介入群(第2報の対象)の32例:男性11例,女性21例,平均年齢69歳を比較検討した。
方法:新義歯装着時およびその後1・3・6か月に①義歯粘膜面,②義歯床下粘膜,③口内リンス液の3種から検体を採取し,クロモアガー培地で35度48時間培養後,菌種とコロニー数(CFU/ml)を測定し,義歯粘膜面のカンジダ付着の有無と関連因子を検討した。
関連因子)年齢,性別,既往疾患,常用薬剤数,安静時唾液分泌量,柿木分類,義歯の既往,下顎残存歯の有無,義歯装着時のカンジダ保菌の有無,口腔内一般細菌数
義歯清掃・管理指導に関しては①デンチャープラーク除去時歯磨剤を使用しない,②バイオフィルム除去後毎日洗浄剤に浸漬する,③就寝時は義歯を外し, 水中に保管することを指導した。
【結果と考察】結果:新義歯装着時のカンジダ保菌率を含めすべての関連因子において2群間に差は認めなかった。しかし,新義歯装着6か月間におけるカンジダの義歯粘膜面への検出率は,介入群22例中4例(18.2%)で非介入群32例中18例(56.2%)と比べ有意に減少した(p = 0.005)。新義歯装着に際し適切な義歯管理指導を行い継続することは,義歯へのンジダ付着予防に極めて有効だと考えられた。
(北大病院自主臨床研 018-0277)(COI開示:なし)