The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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介護・介護予防

[P一般-001] 口腔機能向上訓練方法としてブローイング訓練の応用

○朝田 和夫1、遠藤 眞美2、呉 明憲1、朝田 真理1、竹川 ひとみ1、野本 たかと2 (1. 医療法人社団 進和会 あさだ歯科口腔クリニック、2. 日本大学松戸歯学部 障害者歯科学講座)

【緒言】
 「口腔機能低下症」に対する歯科的対応が求められている。しかし,その対応法は確立されているとは言い難く,効果的な口腔機能向上訓練の検討が求められている。そこで,本研究では,2種類のブローイング訓練が効果的な口腔機能向上訓練法となり得るかについて検討したので報告する。
【方法】
 対象は,あさだ歯科医院受診高齢者のうち,最大舌圧測定(JMS舌圧測定器®)値が30KPa以下で本研究に同意した60人とした。
方法は,対象を層別化ランダムブロック法にて各20人の3群とし,Ⅰ群:吹き戻し(「長息生活」®,レベル0)を最大に吹く運動,Ⅱ群:やわらかいペットボトル(いろはす®,500ml用)を唇で加えて空気を拭いたあとで吸引する運動を各10回ずつ毎晩2回ずつ行う介入群とし,Ⅲ群を非介入群とした3か月にわたるランダム化比較試験とした。訓練前後には,最大舌圧,リットレメーター Medical®による口輪筋の引っ張り強さおよびアズマチェックピークフローメーター®によるピークフロー(最大呼気流量),口腔水分計ムーカス®による口腔乾燥の検査を行った。それらの結果を3群間でKruskal-Wallis検定を行い,その後,各群の検定にはBonferroniの補正を用いて解析した(p<0.01,p<0.05)(SPSSver25(IBM))。
 なお,本研究は日本大学松戸歯学部倫理審査委員会の承認後に行った(EC-18-027)。
【結果と考察】
 3群間の前後比較において,口輪筋のひっぱり強さに差を認めた(p<0.01).各群での比較では,I群に比較してⅢ群(p<0.01)およびⅢ群(p<0.05)が有意な増加を認めた。
 ブローイング訓練は,呼吸訓練や鼻咽腔閉鎖訓練に用いられるが,口腔周囲筋の強化にも有効なことが示唆された。その理由として,各器具を口輪筋で支えながら表情筋の協調運動を求めたことによって,口輪筋の引っ張り強さの向上につながったと考えられた。
【結論】
 本研究で設定したブローイング訓練を3か月間にわたり実施することで口輪筋の引っ張り強さが増加したことから,口腔機能低下症の改善または予防法の一つになる可能性が推察された。