The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

PDFポスター

介護・介護予防

[P一般-002] 高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施に向けた取り組み
第1報 歯科受診機会創出と連携の在り方について

○村上 順彦1、村上 浩美1、蓜島 弘之2,3 (1. 村上歯科医院、2. 松本歯科大学 地域連携歯科学講座、3. 松本歯科大学病院 摂食嚥下機能リハビリテーションセンター)

【目的】

 辰野町と辰野町歯科医師会(有賀功会長)が昨年実施した事業において,総合事業の通所型サービスC(以下リハビリ教室)参加者の75%に口腔機能低下症を認め,その際用いた口腔機能チェックシート(口腔機能向上に関連する質問票)と口腔機能低下症の一致率が高く,他職種の関心を高めたことなどの結果を得た。今年度は,フレイル状態にある高齢者を適切な医療や介護サービスにつなげるため,運動,口腔,栄養の医療専門職種が,リハビリ教室で連携して取り組むための有効な方法を検討した。

【方法】

 対象は,期間中にリハビリ教室を利用した8名(男性4名平均年齢82.75歳,女性4名平均年齢85.75歳)。運動は,既に策定されている運動器の機能向上プログラムに沿って理学療法士と作業療法士が個別にプログラムを実施した。口腔は,保健師が口腔機能チェックシート・口腔湿潤度測定・舌圧測定でスクリーニング検査を行い,該当1項目以上を要精検として歯科医療機関の受診を勧奨するとともに,参加者全員に健口体操を集団実施した。栄養は,BMI20未満または27.5以上を要指導者とし,栄養改善に関する質問票を基に管理栄養士が個別に栄養指導を行った。

【結果及び考察】

 リハビリ教室は随時入れ替わりで3か月間のため,期間中に終了した者は5名であった。運動機能プログラムでは,地域包括が関与した2名において目標が5あり,達成4一部達成1,機能改善4維持1の評価であった。口腔機能は8名全員が要精検と判定された。3項目全て該当した者2名,口腔機能チェックシート非該当者2名であった。期間中に歯科医療機関を受診した者4名で3名が口腔機能低下症と診断された。栄養改善は4名が要指導者と判定され,低栄養者が3名で全員が口腔機能低下症であった。ハイリスク者1名は口腔機能低下症ではなかった。該当者4名に個別栄養指導を行い,目標達成3名一部達成1名であった。リハビリ教室の参加者は,運動器の機能向上ばかりでなく,口腔機能の向上や栄養改善の必要があることが示唆され,特に口腔機能と栄養には密接な関わりがあることが示唆された。口腔機能チェックシートはスクリーニングにおいて有用であることが示唆された。一方,生活機能や健康状態,スクリーニング結果,プログラム・指導・受診等に係る情報の共有や対応での連携などが課題となった。

(松本歯科大学 倫理審査委員会承認番号 374)