The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

PDFポスター

症例・施設

[P一般-109] 高齢者世帯への多職種との情報共有と口腔健康管理の重要性

○古賀 登志子1、野崎 康弘2 (1. 三ノ輪口腔ケアセンター、2. ジェイエムビル歯科医院)

【目的】超高齢社会の到来とともに社会的孤立や経済的理由により医療,介護の面から置き去りにされる高齢者は,健康管理や社会生活に於いて,多様な問題を含み,特に在宅における口腔管理は,重度化してから問題視されることが多い。多職種による口腔への関心が,重度化する前に歯科に繋がればもう少し早く経口摂取を開始出来たと考えられる。老々介護においての歯科衛生士は,要介護高齢者だけでなく介護者に対しての支援も重要といえる。多職種との情報の共有により看取り対応から経口摂取に至った症例を報告する。
【症例】年齢74歳女性 要介護5 C-1 現病名:くも膜下出血,大腿骨骨折。全身状態:四肢麻痺,意思疎通不可。現在の栄養摂取状況:ソフト食経口摂取。口腔内状況:12歯残根,義歯無,歯肉発赤,出欠,腫脹有。口腔乾燥強。舌・口蓋に剥離粘膜付着。生活状況:日常ベッド上,食事時車椅子。介護サービス利用状況:デイサービス5日/週。医師訪問2回/月,歯科衛生士現在2回/月,歯科医師1回/3M
【経過】H23年からMCI。H25年1月大腿骨骨折入院,認知症が顕著になる。同年6月くも膜下出血により入院、医師より認知機能回復の見込みなく在宅となる。H28年8月食物をため込み嚥下困難。9月より39度の発熱続き,体重29㎏。点滴による栄養補給。,夫は介護に疲弊し体調崩すもヘルパーの介入・胃瘻は拒否。夫から「口から食べさせたい」との希望を受けH28年10月,ケアマネより三ノ輪口腔ケアセンターへ相談・依頼があり歯科衛生士が訪問し地域歯科医師に繋げ,歯科医師の評価に基づき,口腔機能・衛生管理を目的とし居宅療養管理指導にて歯科衛生士が週1回訪問する。歯磨きの習慣がなかった夫の協力も徐々に得られ口腔内状況好転。12月デイでの食事観察実施,サービス担当者会議において今後の食事支援について検討し,医師,薬剤師と服薬の相談をした。体調の変化はあるが現在水分1日1000㏄,食事はソフト食を夫の介助にて3食対応。体重はH30年8月2㎏減少したが,その後35㎏を維持している。発語はないが表情も出,肺炎を発症することなく安定状態を保っている。
【結果と考察】多職種と共に,夫の介護力に見合った支援と口腔健康管理の提供をすることにより,「最後まで口から食べさせたい」との夫の希望に寄り添う事が出来た,といえる。 
利益相反(COI)有無:無