[P一般-114] 薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)の患者に対して義歯を製作した症例
【目的】
ビスフォスフォネート製剤や抗RANKL抗体等の骨修飾薬による治療を受けている骨粗鬆症患者や悪性腫瘍に罹患している患者に難治性の薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)が発生することが報告されている.今回,MRONJの患者に対して義歯を製作した1例を経験したので報告する.
【症例の概要と処置】
80歳,男性.認知症,気管支喘息,胃癌,大腸癌,前立腺癌,骨転移の既往があった.2011年7月ゾメタ開始,2014年1月ランマークに変更.2019年3月5日に当院口腔外科外来受診.口腔内には多くのプラークや歯石,残存歯の動揺を認め,瘻孔,発赤,排膿があり,両側上下顎MRONJの疑いとの診断がなされた.患者本人から,義歯不適合のため長期間使用しておらず,食事が上手くできずに食欲も低下しているとの訴えがあり,口腔外科からの紹介により当科外来を受診した.2019年3月18日にCT・MRI撮影により上顎骨左右前歯部,右下顎骨骨体部臼歯相当部骨髄炎と診断された.義歯不適合によるMRONJの増悪や義歯不使用による残存歯の負担増大の恐れより,2019年4月より当科にて口腔衛生管理,義歯新製の方針となった.口腔外科では疼痛や排膿に対しての症状緩和や感染制御に対して,抗菌性洗口剤や抗菌薬の処方が繰り返された.口腔外科の診療と並行して,当科では2019年4月8日に上下顎概形印象採得後,4月22日に上下顎精密印象採得,来院ごとに超音波スケーラーによる口腔清掃を行った.2019年5月に咬合採得を行い,6月に蝋義歯試適,7月に新義歯装着となった.
【結果と考察】
新義歯装着後,義歯調整と残存歯の口腔衛生管理を続けた.現在,義歯による痛みはなく,義歯装着前に比べ摂取可能な食品が増えた.本症例のように,MRONJに罹患中であっても義歯の製作を行い,義歯と残存歯の適切なメンテンスを行うことにより,患者の摂食のQOLを向上することができたと考えている.
ビスフォスフォネート製剤や抗RANKL抗体等の骨修飾薬による治療を受けている骨粗鬆症患者や悪性腫瘍に罹患している患者に難治性の薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)が発生することが報告されている.今回,MRONJの患者に対して義歯を製作した1例を経験したので報告する.
【症例の概要と処置】
80歳,男性.認知症,気管支喘息,胃癌,大腸癌,前立腺癌,骨転移の既往があった.2011年7月ゾメタ開始,2014年1月ランマークに変更.2019年3月5日に当院口腔外科外来受診.口腔内には多くのプラークや歯石,残存歯の動揺を認め,瘻孔,発赤,排膿があり,両側上下顎MRONJの疑いとの診断がなされた.患者本人から,義歯不適合のため長期間使用しておらず,食事が上手くできずに食欲も低下しているとの訴えがあり,口腔外科からの紹介により当科外来を受診した.2019年3月18日にCT・MRI撮影により上顎骨左右前歯部,右下顎骨骨体部臼歯相当部骨髄炎と診断された.義歯不適合によるMRONJの増悪や義歯不使用による残存歯の負担増大の恐れより,2019年4月より当科にて口腔衛生管理,義歯新製の方針となった.口腔外科では疼痛や排膿に対しての症状緩和や感染制御に対して,抗菌性洗口剤や抗菌薬の処方が繰り返された.口腔外科の診療と並行して,当科では2019年4月8日に上下顎概形印象採得後,4月22日に上下顎精密印象採得,来院ごとに超音波スケーラーによる口腔清掃を行った.2019年5月に咬合採得を行い,6月に蝋義歯試適,7月に新義歯装着となった.
【結果と考察】
新義歯装着後,義歯調整と残存歯の口腔衛生管理を続けた.現在,義歯による痛みはなく,義歯装着前に比べ摂取可能な食品が増えた.本症例のように,MRONJに罹患中であっても義歯の製作を行い,義歯と残存歯の適切なメンテンスを行うことにより,患者の摂食のQOLを向上することができたと考えている.