The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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口腔機能

[P一般-014] 後期高齢者の咀嚼能力低下と体格指標(体格指数:BMI・下腿周囲長:CC)・血中脂質との関連について

○齋藤 寿章1、富永 一道1、西 一也1、清水 潤1、井上 幸夫1 (1. 島根県歯科医師会地域福祉部委員会)

【目的】
 後期高齢者の咀嚼能力低下と体格指標・血中脂質との関連について、咀嚼の複合指標(客観的・主観的咀嚼能力の複合指標:客観噛めない&主観噛めない;1群、客観噛めない&主観噛める;2群、客観噛める&主観噛めない;3群、客観噛める&主観噛める;4群、富永ら)を用いて検討することを目的とした。
【方法】
 平成28年度島根県後期高齢者歯科口腔健診と後期高齢者健診の突合データ2,831名(男性1,141名、女性1,690名)を対象とした。客観的評価は、グミゼリーを15秒間努力咀嚼した後の分割数をグミ15秒値とし、男女それぞれ小さい値から50パーセンタイルまでを客観噛めない、これを越えたら客観噛めるとした。主観的評価は、何でも噛める/噛めない物があるをそれぞれ主観噛める/主観噛めないとした。咀嚼の複合指標と性、年齢、BMI(痩せ、正常、肥満)、CC(30cm未満/以上)のクロス集計を行なった。さらにBMI18.5未満、BMI25以上、CC30cm未満、TG150mg/dl以上、HDL-C40mg/dl未満、TG/HDL-C3.03以上それぞれの該当/非該当を目的変数としたロジスティック回帰分析を行なった。ロジスティック回帰分析では性・年齢を共変量とした(CCの分析のみBMIを添加)。有意水準は5%とした。TG150mg/dl以上又はHDL-C40mg未満を脂質異常、TG/HDL-Cを冠動脈硬化指標とした。
【結果と考察】
 クロス集計ではBMI18.5未満の者は1群が他の群に比べて有意に多く、BMI25以上の者は2群が有意に多かった。さらに、これらはロジスティック回帰分析において4群に比べたオッズ比がそれぞれ1.43、1.28であった。CC30cm未満の者は1群、2群で多い傾向が観察され、ロジスティック回帰分析においても4群に比べたオッズ比がそれぞれ1.82、1.64であった。血中脂質異常を目的変数としたロジスティック回帰分析では、4群に比べて1群、2群のオッズ比が有意に大きい傾向が観察された。以上から、客観的に噛めないことは痩せと肥満双方に関連し、加えて主観的に噛めないことはサルコペニアのリスク因子である可能性が示唆された。血中脂質の分析については医療的介入が考慮できておらず限定的である。更に検討を加え考察する。
(COI:開示なし)
(一般社団法人島根県歯科医師会倫理委員会 承認番号8)