[P一般-017] 補綴外来患者における口腔機能低下症の下位症状と身体的フレイル指標の関連
【目的】
地域在住高齢者の大規模コホート研究から,サルコペニアやフレイルにいたる過程の初期にオーラルフレイルが生じることが報告されている。しかし,平成30年度から診療報酬に採用された「口腔機能低下症」の各下位症状や身体的フレイル指標との関連はまだ十分検討されていない。今回,補綴外来患者において,口腔機能低下症下位症状と身体的フレイル指標との関係を検討したので報告する。
【方法】
2019年2月から2020年1月の間に,当科において口腔機能低下症の各診断検査,生体インピーダンス法による体組成計測ならびに握力計測を実施した歯科補綴治療患者48名について,各検査結果の相関関係を検討した。さらに,骨格筋指数(SMI)と握力の正常群と低下群における各検査結果を比較した。
【結果と考察】
48名のほとんどが多数歯欠損の義歯装着者(うち17名が無歯顎者)であり,口腔機能低下症の診断率は96%であった。舌圧はオーラルディアドコキネシス(r=0.312, p=0.031),EAT-10(r=-0.316, p=0.031)と有意な相関を認めた。SMIと有意な相関を示したのは,舌圧(r=0.344, p=0.017),EAT-10(r=-0.321, p=0.028)であり,握力との相関は,オーラルディアドコキネシス(r=0.405, p=0.004),舌圧(r=0.354, p=0.013),EAT-10(r=-0.506, p=0.000),聖隷式嚥下質問(r=-0.439, p=0.020)で認めた。また,SMIと握力の低下群においては,舌圧,オーラルディアドコキネシス,咬合圧が有意に低下していた。
多数歯欠損の義歯患者においても,SMIと握力の身体的フレイル指標は,舌圧,オーラルディアドコキネシスから評価される舌機能が強く関係し嚥下機能にも影響していると考えられた。また,舌圧の低下から骨格筋量減少を推定できる可能性が示唆された。
(鹿児島大学 疫学研究等倫理委員会承認 190165疫)
地域在住高齢者の大規模コホート研究から,サルコペニアやフレイルにいたる過程の初期にオーラルフレイルが生じることが報告されている。しかし,平成30年度から診療報酬に採用された「口腔機能低下症」の各下位症状や身体的フレイル指標との関連はまだ十分検討されていない。今回,補綴外来患者において,口腔機能低下症下位症状と身体的フレイル指標との関係を検討したので報告する。
【方法】
2019年2月から2020年1月の間に,当科において口腔機能低下症の各診断検査,生体インピーダンス法による体組成計測ならびに握力計測を実施した歯科補綴治療患者48名について,各検査結果の相関関係を検討した。さらに,骨格筋指数(SMI)と握力の正常群と低下群における各検査結果を比較した。
【結果と考察】
48名のほとんどが多数歯欠損の義歯装着者(うち17名が無歯顎者)であり,口腔機能低下症の診断率は96%であった。舌圧はオーラルディアドコキネシス(r=0.312, p=0.031),EAT-10(r=-0.316, p=0.031)と有意な相関を認めた。SMIと有意な相関を示したのは,舌圧(r=0.344, p=0.017),EAT-10(r=-0.321, p=0.028)であり,握力との相関は,オーラルディアドコキネシス(r=0.405, p=0.004),舌圧(r=0.354, p=0.013),EAT-10(r=-0.506, p=0.000),聖隷式嚥下質問(r=-0.439, p=0.020)で認めた。また,SMIと握力の低下群においては,舌圧,オーラルディアドコキネシス,咬合圧が有意に低下していた。
多数歯欠損の義歯患者においても,SMIと握力の身体的フレイル指標は,舌圧,オーラルディアドコキネシスから評価される舌機能が強く関係し嚥下機能にも影響していると考えられた。また,舌圧の低下から骨格筋量減少を推定できる可能性が示唆された。
(鹿児島大学 疫学研究等倫理委員会承認 190165疫)