The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

PDFポスター

口腔機能

[P一般-034] 若年者と高齢者との間での口腔機能の比較

○澤田 ななみ1、竹内 倫子2、江國 大輔1、森田 学1 (1. 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野、2. 岡山大学病院予防歯科)

【目的】
 口腔機能は年齢とともに低下すると言われている。今回,若年者と高齢者との間での口腔機能を比較することを目的とした。

【方法】
 対象は,岡山大学歯学部学生53名(男性29名,女性24名,平均年齢23.8±2.3歳)と岡山大学病院予防歯科外来を受診した65歳以上の患者180名(男性51名,女性129名,平均年齢74.6±6.4歳)とした。日本老年歯科医学会の口腔機能低下症の診断項目から,口腔粘膜湿潤度,咬合力(N),オーラルディアドコキネシス(ODK)(回/秒),舌圧(kPa),咀嚼能力(mg/dl)を測定した。大学生を若年者(Y群),外来患者を高齢者(O群)として2群比較を行った。検定にはMann-Whitney U検定を用い,有意水準は5%とした。

【結果と考察】
 Y群において,女性より男性の方が有意に高かった項目は咬合力,ODK /pa/および舌圧であり,O群では咬合力であった。
 男性において,O群よりY群の方が有意に高かったのは咬合力(中央値:1037.7対621.5),ODK /pa/(7.0対5.9),ODK /ta/(7.4対6.0),ODK /ka/(6.6対5.6),舌圧(41.7対32.0)および咀嚼能力(221.0対180.3)であった。
 女性において,O群よりY群の方が有意に高かったのは咬合力(702.5対434.1),ODK/ta/(7.1対5.9),ODK /ka/(6.5対5.7),舌圧(36.0対31.9)および咀嚼能力(217.0対172.3)であった。
 男女とも咬合力,ODK,舌圧,および咀嚼能力において2群で有意差があったことから,加齢に伴う口腔機能の低下が示唆された。これらは加齢に伴う筋力の低下が関係したと考えられる。
 口腔粘膜湿潤度は大学生のほうが高いという結果とはならなかった。先行研究でも地域在住高齢者(平均年齢70.0歳)と健常成人(平均年齢24.4歳)の口腔粘膜湿潤度に差がなかったことから,加齢に伴う変化が少ない可能性が考えられる。
 結論として,若年者と高齢者との間で口腔機能に差がみられたのは,咬合力,ODK,舌圧,および咀嚼能力であった。

(COI開示:なし)
(岡山大学 倫理審査委員会承認番号 研1708-028)