[P一般-049] さいたま赤十字病院における嚥下障害患者への口腔機能管理の取り組み 第三報
【目的】嚥下障害患者は入院後に経口摂取が禁止となり、経静脈及び経腸栄養のみの栄養管理となることが多い。直接訓練も含めた経口摂取を行えない期間が長くなるにつれ、口腔ケアや間接訓練を適切に行えなければ、口腔機能低下や口腔衛生状態のさらなる悪化を認めることが少なくない。摂食嚥下リハビリテーション(以後、嚥下リハ)を行うにあたり口腔機能が早期より適切に管理されていることが求められる。嚥下リハ時に口腔衛生状態が悪く口腔ケアに難渋すること、義歯が不適合で咀嚼が十分にできず、食形態が制限されることは珍しくない。今回、さいたま赤十字病院(以後、当院)入院中の嚥下障害患者に対する口腔機能管理の取り組みについて第三報を報告する。【方法】当院では2018年度より、主治医から嚥下リハの処方が出された全症例に対して、リハビリテーション科医師から歯科へのコンサルテーションにより、口腔機能管理を目的に、歯科による口腔内診査及び歯科治療の必要性検討のためのスクリーニング(以後、スクリーニング)を開始した。現在までにスクリーニングを実施した患者289名について後方視的に調査した。【結果と考察】65歳以上の高齢者は全体の86.5%にあたる250名であった。その250名について調査したところ、スクリーニングは初回嚥下リハから平均0.2±1.4日で実施されていた。また、臼歯部咬合支持域のないアイヒナー分類B4~C3の患者は119名(47.6%)に上り、そのうちの62名(52.1%)に対して、入院中の歯科処置により咬合支持域を1以上に回復することができていた。2019年度の本学会学術大会で発表した第一報の結果でも同様に、116名の対象患者に対し、スクリーニングは初回嚥下リハから平均0.2±1.4日で実施されていて、アイヒナー分類B4~C3の患者は対象患者の52.6%、そのうちの47.5%に対し入院中の歯科処置により咬合支持域を1以上に回復できたことを報告した。他学会で報告した第二報でも同様の傾向であった。今回、対象患者を増やしての検討においても既報の結果の傾向と大きな相違なく、スクリーニングの実施により嚥下リハの早期から歯科が口腔機能管理に関わることで、咬合支持域の回復など口腔内環境整備の面から嚥下リハの質の向上に寄与できる可能性があると考える。(さいたま赤十字病院 治験審査委員会承認番号 D2018-002)