The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

PDFポスター

実態調査

[P一般-063] 急性期と維持期における歯科ニーズに関する実態調査

○尾花 三千代1,2、古屋 純一3、吉住 結1,4、玉田 泰嗣5、徳永 淳二3,6、郷田 瑛6、猪原 健7、佐藤 友秀5,8、山本 尚德5,9、若杉 葉子10、生田 稔4、竹内 周平1,2、戸原 玄1、水口 俊介1 (1. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野、2. 医療法人社団竹印 竹内歯科医療院、3. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 地域・福祉口腔機能管理学分野、4. さいたま赤十字病院 口腔外科、5. 岩手医科大学歯学部 補綴・インプラント学講座、6. 逗子メディスタイルクリニック、7. 猪原歯科・リハビリテーション科、8. 佐藤歯科医院、9. 山本歯科医院、10. 悠翔会歯科)

【目的】
 高齢者は疾病罹患を契機として、長期間の療養が必要になることが多い。そのため、急性期・回復期・維持期において適切な歯科治療を行い、各ステージ間での途切れのない連携が必要と考えられる。しかし、医療・環境・社会的問題から、各ステージにおいて優先すべき歯科治療も異なると考えられるが、実態については十分に明らかになっていない。そこで本研究では、特に経口摂取に問題のある高齢者を対象として、急性期と維持期における歯科治療ニーズに関する実態調査を行った。

【方法】
 研究対象者は2016年4月から2019年12月までに、国内の複数の施設にて、経口摂取に関する問題を主訴に歯科受診した65歳以上の高齢者のうち、急性期病棟入院中に訪問歯科診療を行った90名(急性期群)、在宅や施設に訪問歯科診療を行った62名(維持期群)を対象とした。調査項目は初診時の年齢、性別、意識状態(JCS)、全身状態(PS)、現在歯数、機能歯数、Oral Health Assessment Tool(OHAT)、摂食嚥下障害の重症度(DSS)、栄養摂取方法(FOIS)、最も優先度の高い歯科治療とした。統計学的手法はχ2検定、Mann-Whitney U検定とし、有意水準は両側5%とした。

【結果と考察】
 平均年齢は急性期群78.6±7.7歳、維持期群83.9±7.7歳であった。全身状態は、急性期群の中央値はJCS1、PS4である一方、維持期群の中央値はJCS0、PS3であった。FOIS平均レベルは急性期群2.5±2.1に対し、維持期群5.4±2.0(p<.05)、DSS平均レベルは、急性期群3.7±1.5に対し、維持期群5.0±1.8(p<.05)であった。OHAT合計点数、現在歯数と機能歯数については有意な差はみられなかった。最も優先度の高い歯科治療は、急性期群は嚥下障害への対応(35.6%)であったのに対し、維持期群は義歯の対応(40.3%)であった。以上より、経口摂取に問題を抱える高齢者においては、急性期と維持期では口腔環境に大きな差はないが、急性期では全身状態はより悪く、咽頭期の嚥下障害を有することが多いこと、また、維持期では準備期や口腔期の問題が多く、義歯への対応の重要性が示唆され、高齢者のステージにあわせて柔軟に歯科治療を実施する必要性が明らかとなった。
(東京医科歯科大学 倫理審査委員会 承認番号D2018-002)