The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

Presentation information

一般演題(ポスター)

PDFポスター

実態調査

[P一般-066] 千葉県における76歳高齢者歯科健康診査受診者の口腔機能低下の状況

○田口 千恵子1、鈴木 英明2、寺田 陵3、水町 裕義3、米谷 敬司3、小宮 あゆみ3、久保木 由紀也3、大河原 伸浩3、高原 正明3、砂川 稔3、有川 量崇1 (1. 日本大学松戸歯学部衛生学講座、2. 千葉県健康福祉部健康づくり支援課、3. 一般社団法人千葉県歯科医師会)

【調査】

【目的】
 平成28年度より,千葉県歯科医師会は,千葉県後期高齢者医療広域連合の委託により後期高齢者の口腔機能の低下や誤嚥性肺炎等の疾病予防,口腔機能の維持・改善を目的として歯科口腔健康診査(健診)事業を実施している。本研究では,2018年度の健診受診者の口腔機能低下等の実態について報告する。
【方法】
 対象は,千葉県後期高齢者医療広域連合の被保険者で2018年中に76歳となる者である。実施期間は,2018年6月から12月末であった。診査項目は,歯,歯周組織の状態,義歯の状態,口腔機能評価と質問紙調査(口腔内の満足度,歯科で聞きたいこと,全身の既往,喫煙状況,嚥下機能,口腔乾燥,定期的歯科健診受診について)であった。口腔機能低下について,飯島らの定義を一部改変し,現在歯20歯未満,「パ」「カ」の発声,主観的咀嚼能力,むせの自覚,RSST 3回未満のうち3項目以上に該当した場合をオーラルフレイル該当者(O群)とし,非該当者(N群)との比較検討を行った。日本大学松戸歯学部倫理審査委員会の承認を得て行われた(承認番号EC19-020A)。
【結果と考察】
 受診者は,10,097名(男性4,695名,女性5,402名),受診率は13.6 %であった。O群は609名(男性279名,女性330名)であった(欠損値を除く)。O群の割合は,6.2%であり他の報告より低い結果であった。現在歯数の平均±SDは,O群17.1±8.0本,N群22.0±7.1本であった。歯周組織(BOP,PPD)の評価,義歯清掃,口腔軟組織異常,顎関節異常,口腔乾燥,歯・口腔清掃状況ともに,O群で異常ありと評価される割合が高かった。パタカの発声,RSSTにおいてもO群で問題ありとされる割合が高い結果であった。主観的口腔に関する満足度について,O群では,満足(大変満足+満足)の割合が36.2%と低い値であった(N群で68.3%)。歯科で聞きたいことについてもO群で割合が多かった。既往歴では高血圧がO群(39.0%),N群(36.2%)で割合が高いもののその差は明らかではなかった。今回の対象者は,歯科医院に受診可能な高齢者であった。今後,訪問調査の実施および対象年齢の追加も検討課題である。加えて,他県との比較も行い,フレイル予防の施策の実施が必要であると考えられる。(COI開示:なし)