[P一般-074] 歯科診療所通院患者における「口腔機能低下症」と「食事」についての実態調査
【目的】
2018年4月に歯科診療報酬が改訂され、ついに「口腔機能低下症」が保険病名に認定された。しかしながら現在、「口腔機能低下症」と栄養や食事の関連性ならびに本疾患の予防・改善を目指した具体的なアプローチ法を検討した研究は無く、かつ地域歯科診療所における「口腔機能低下症」の実態を調査した成績もごくわずかである。そこで今回我々は、地域歯科診療所通院患者における高齢者の「口腔機能低下症」の実態と栄養素摂取量ならびに栄養状態との関連性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
O歯科診療所(大阪府東大阪市)に通院している患者のうち、研究の趣旨に同意が得られた65歳以上の100名(男性41名、女性59名、年齢77.2±6.0歳)を対象とした。調査項目は、「口腔機能低下症」の診断項目7種、基本チェックリスト(KCL)を用いたフレイル判定、簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を用いた栄養食事調査、簡易栄養状態評価表(MNA-SF)を用いた栄養評価である。
【結果】
特に該当者が多かった項目は、口腔乾燥57名(57%)、咬合力低下51名(51%)、舌口唇運動機能低下75名(75%)、低舌圧55名(55%)であった。また、7項目中3項目以上に該当する 「口腔機能低下症」の患者は50名(50%)であり、本症該当群は非該当群よりも年齢が有意に高値であった(該当群:78.3±5.4歳、非該当群76.0±6.3歳、p<0.05)。また、KCLを用いたフレイル判定の結果、“ロバスト(フレイルなし)”の該当割合は26.0%(26名)、“プレフレイル”は52.0%(52名)、“フレイル”は22.0%(22名)であった。さらに、MNA-SFを用いた栄養評価の結果、“栄養状態良好”の該当割合は70%(70名)、“At risk(低栄養のおそれあり)”の割合は30%(30名)、“低栄養”の者はいなかった。他方、「口腔機能低下症」とフレイル判定、栄養素摂取量、栄養状態との関連はみられなかった。今後さらに対象者や対象地域を拡大し、検討をすすめる予定である。
(COI開示:なし)
(大阪樟蔭女子大学 倫理審査委員会承認番号31-04)
2018年4月に歯科診療報酬が改訂され、ついに「口腔機能低下症」が保険病名に認定された。しかしながら現在、「口腔機能低下症」と栄養や食事の関連性ならびに本疾患の予防・改善を目指した具体的なアプローチ法を検討した研究は無く、かつ地域歯科診療所における「口腔機能低下症」の実態を調査した成績もごくわずかである。そこで今回我々は、地域歯科診療所通院患者における高齢者の「口腔機能低下症」の実態と栄養素摂取量ならびに栄養状態との関連性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
O歯科診療所(大阪府東大阪市)に通院している患者のうち、研究の趣旨に同意が得られた65歳以上の100名(男性41名、女性59名、年齢77.2±6.0歳)を対象とした。調査項目は、「口腔機能低下症」の診断項目7種、基本チェックリスト(KCL)を用いたフレイル判定、簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を用いた栄養食事調査、簡易栄養状態評価表(MNA-SF)を用いた栄養評価である。
【結果】
特に該当者が多かった項目は、口腔乾燥57名(57%)、咬合力低下51名(51%)、舌口唇運動機能低下75名(75%)、低舌圧55名(55%)であった。また、7項目中3項目以上に該当する 「口腔機能低下症」の患者は50名(50%)であり、本症該当群は非該当群よりも年齢が有意に高値であった(該当群:78.3±5.4歳、非該当群76.0±6.3歳、p<0.05)。また、KCLを用いたフレイル判定の結果、“ロバスト(フレイルなし)”の該当割合は26.0%(26名)、“プレフレイル”は52.0%(52名)、“フレイル”は22.0%(22名)であった。さらに、MNA-SFを用いた栄養評価の結果、“栄養状態良好”の該当割合は70%(70名)、“At risk(低栄養のおそれあり)”の割合は30%(30名)、“低栄養”の者はいなかった。他方、「口腔機能低下症」とフレイル判定、栄養素摂取量、栄養状態との関連はみられなかった。今後さらに対象者や対象地域を拡大し、検討をすすめる予定である。
(COI開示:なし)
(大阪樟蔭女子大学 倫理審査委員会承認番号31-04)