The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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加齢変化・基礎研究

[P一般-085] 義歯安定剤ユーザーに向けた試作義歯洗浄剤の洗浄効果の検討

○堀之内 玲耶1、原田 佳枝1、山下 裕輔1、 益崎 与泰1、村上 格1、西 恭宏1、西村 正宏1 (1. 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 口腔顎顔面補綴学分野)

【目的】
 我が国では超高齢社会を迎え,義歯装着者の増加とともに義歯安定剤・義歯洗浄剤等の義歯ケア製品の使用規模は拡大してきている.義歯安定剤には使用後の義歯からの除去が難しいという問題点があるが、この問題点を解決できる義歯洗浄法はまだ確立されていない.我々はこれまで,アクリルレジン上の義歯安定剤の除去法について検討を重ね,市販義歯洗浄剤による除去能力は不十分だが適切な界面活性剤を用いることで改良できることを見出した(投稿中).今回,この発見を基にした試作品を用いた実験で新たな知見を得たので報告する.

【材料と方法】
 義歯安定剤にはクリームタイプの市販品を2種類用いた.義歯洗浄剤は,一定範囲のHLB値(hydrophilic-lipophilic balance value:界面活性剤の水と油との親和性の程度を示す値)を示す義歯安定剤除去に優れた界面活性剤を含む試作品と,6種類の市販泡タイプ義歯洗浄剤を用いた.まず,義歯洗浄剤溶液への浸漬による義歯安定剤の除去実験を行った.アクリルレジン板上に義歯安定剤を均一に塗布し試料とした.一定時間溶液に試料を浸漬後,試料を引き上げ残留した義歯安定剤の面積を記録し比較した.さらに,義歯安定剤を塗布したアクリルレジン試料をカンジダ含有溶液に浸漬して汚染させた後,義歯洗浄剤浸漬を行い,浸漬後の試料に残存したカンジダが減少しているか調べた.また試作品の義歯材料の表面性状に対する影響を検討するため,義歯床用レジン(ProBase, Ivoclar)と硬質リライン材(クラリベース,クラレ)に対し長時間の洗浄剤溶液浸漬による表面性状の変化を比較した.

【結果と考察】
 義歯洗浄剤溶液浸漬による義歯安定剤の除去実験では,試作品が最も強力にクリームタイプ義歯安定剤を除去できた.カンジダで汚染した義歯安定剤を用いた実験では,試作品を含めて使用した義歯洗浄剤溶液全てにおいてコントロール(精製水)よりも試料に残存したカンジダが減少した.試作品溶液の長時間浸漬による義歯材料の表面性状への影響は認められなかった.

 以上より,HLB値が一定範囲の界面活性剤を含む試作義歯洗浄剤は,義歯安定剤除去効果を持つ義歯洗浄剤として有効性が高いことが示された.