[P一般-086] 抗酸化剤の腫瘍選択性と神経保護作用の定量化による再検討
【緒言】高齢化に伴い、終末糖化産物(AGE)の蓄積、カルボニルストレスの発生、アミロイドペプチドによる神経細胞障害などが報告されている。我々の日常生活で摂取する飲食物に含まれるレスベラトロール(ワインの主成分)、クルクミン(カレー粉の主成分)、p-クマール酸(リグニン配糖体の構成要素)、クロロゲン酸(コーヒーの主成分)は、低濃度域においては、抗酸化作用による神経保護作用、高濃度域では種々の癌細胞に対するアポトーシス誘導能が報告されている。これらの濃度依存的に相反する作用は、それぞれ生体にとり有益な性質であるが、これらの生物活性に関する定量化の報告は少ない。そこで、今回、腫瘍選択係数(TS値)、神経細胞に対する毒性および保護作用を定量化し、安全性に関する再検討を行った。
【方法】ヒト口腔扁平上皮癌細胞(歯肉由来のCa9-22, 舌由来のHSC-2, HSC-3, HSC-4)、ヒト口腔正常細胞(歯肉線維芽細胞HGF、歯根膜線維芽細胞HPLF、歯髄細胞HPC)(明海大学歯学部で樹立)、ラット副腎髄質褐色腫細胞PC12、ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y)は、DMEM+10%FBSで培養した。腫瘍選択係数TSは、正常細胞に対する50%細胞傷害濃度(CC50)の平均値を、癌細胞に対するCC50値で割り求めた。生細胞数はMTT法で測定した。
【結果】レスベラトロール、クルクミン、p-クマール酸、クロロゲン酸の腫瘍選択性は抗癌剤のドキソルビシンや5-FUと比較して弱く、使用した薬剤に対する感受性は、NGFで分化成熟した神経様細胞PC12及びSH-SY5Yが高い感受性を示した。
【考察】これら抗酸化剤の中では、レスベラトロールが、比較的高い腫瘍選択性を示したが(TS=4.2)、クルクミン(TS=2.4)、クロロゲン酸(TS=1.3)、p-クロロゲン酸(TS=1.0)の腫瘍選択性は低いので慎重投与が必要である。PC12のNGFにより誘導される神経細胞分化の過程での感受性の変化について検討する予定である。
【方法】ヒト口腔扁平上皮癌細胞(歯肉由来のCa9-22, 舌由来のHSC-2, HSC-3, HSC-4)、ヒト口腔正常細胞(歯肉線維芽細胞HGF、歯根膜線維芽細胞HPLF、歯髄細胞HPC)(明海大学歯学部で樹立)、ラット副腎髄質褐色腫細胞PC12、ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y)は、DMEM+10%FBSで培養した。腫瘍選択係数TSは、正常細胞に対する50%細胞傷害濃度(CC50)の平均値を、癌細胞に対するCC50値で割り求めた。生細胞数はMTT法で測定した。
【結果】レスベラトロール、クルクミン、p-クマール酸、クロロゲン酸の腫瘍選択性は抗癌剤のドキソルビシンや5-FUと比較して弱く、使用した薬剤に対する感受性は、NGFで分化成熟した神経様細胞PC12及びSH-SY5Yが高い感受性を示した。
【考察】これら抗酸化剤の中では、レスベラトロールが、比較的高い腫瘍選択性を示したが(TS=4.2)、クルクミン(TS=2.4)、クロロゲン酸(TS=1.3)、p-クロロゲン酸(TS=1.0)の腫瘍選択性は低いので慎重投与が必要である。PC12のNGFにより誘導される神経細胞分化の過程での感受性の変化について検討する予定である。