一般社団法人日本老年歯科医学会 第31回学術大会

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全身管理・全身疾患

[P一般-092] 当院高齢患者における抗血栓療法中の抜歯後出血リスク因子の解析

○森 美由紀1、別府 大嘉繁1、千代 侑香1、斉藤 美香1、大鶴 洋1,2、平野 浩彦1 (1. 東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科、2. 東京都)

【目的】近年、抗血栓薬を内服している高齢者の抜歯術を施行する機会が増加している。抜歯後出血のリスク因子を解析する研究はこれまで多く報告されているが、高齢者の特徴に配慮した栄養状態や認知機能等と抜歯後出血の関連について解析した報告はされていない。今回、当科で抗血栓療法中の高齢患者において抜歯後出血リスク因子について検討した。
【方法】対象は2015年4月1日から2019年3月まで当科を受診し、抗血栓療法中の65歳以上の高齢患者160名(男性101名、女性29名)とした。抗血栓薬は、ワルファリンまたは直接経口抗凝固薬(DOACs:direct oral anticoagulants)であるダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンのいずれかであった。抜歯終了後、止血確認をもって処置終了とし、抜歯後4時間後、24時間後、48時間後、術後7日後に抜歯後出血の有無を確認した。そのうち1度でも出血を認めた場合を抜歯後出血ありと定義した。また、歯肉骨膜を翻転し、周囲骨の削除または歯の分割を行った抜歯を難抜歯と定義した。さらに、年齢、性別、基礎疾患、MMSE(Mini-Mental State Examination)、身長、体重、BMI、MNA-SF(Mini nutritional assessment Short-Form)、PT-INR、APTT、Cre、eGFR、T-BiL、ALB、CHADS2, HAS-BLED、難易度、抜歯本数、抜歯時の収縮期血圧、拡張期血圧、抗血小板薬併用の有無について電子カルテから抽出した。抜歯後出血を従属変数とし、年齢、性別、PT-INR、APTT、1回あたりの抜歯本数、難易度(普通抜歯または難抜歯)、MMSE、MNA-SF、抗凝固薬の種類の各因子を独立変数として、多変量ロジスティック解析を行った。
【結果と考察】本研究において、抜歯後出血リスク因子として、DOACsはワルファリンと比較して有意差は認めなかった。抜歯後出血リスク因子として、難抜歯、MNA-SFが抽出された。また、MMSEは2群間比較では有意差を認めたが、ロジスティック回帰分析の結果、抜歯後出血の独立したリスク因子とは言えなかった。
地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究倫理審査委員会承認番号R-19-13
COI:開示なし。