The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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愛知県歯科医師会特別シンポジウム

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オーラルフレイル・口腔機能低下症と認知症の関連について ~厚生労働省老人保健健康増進等事業2年目の取り組みから~

座長:冨田 健嗣(愛知県歯科医師会地域保健部(高齢福祉・歯科医療センター))

[SY1-2] オーラルフレイルと認知症

○遠藤 英俊1 (1. 聖路加国際大学臨床教授)

【略歴】
1982年:
滋賀医科大学卒
1987年:
名古屋大学大学院修了 医学博士取得
1990年:
米国国立老化研究所客員研究員
1992年:
中津川市民病院内科部長
1993年:
国立湊病院内科医長
1993年:
国立療養所中部病院内科医長
2004年:
国立長寿医療センター包括診療部長
2010年:
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター老年内科部長
2014年:
国立長寿医療研究センター長寿医療研修センター長

フレイルは老化のサインであり、症候群である。早期に発見し介入することで病気を予防することができる。フレイルと認知症の関連も指摘されており、オーラルフレイルがその起点となる可能性もある。特に認知症の観点からオーラルフレイルとの関連について分担報告する。

 2020年より全国で15項目からなるフレイル検診が開始される。具体的内容としては健康状態、心の健康状態、食習慣、口腔機能、体重変化、運動・転倒、認知機能、喫煙、社会参加、ソーシャルサポートについての問診票が作成されている。

 すなわち今後ますます地域行政によるフレイルへの取り組みが強化される。歯科領域においても早期発見、早期対応の重要性が増すであろう。すなわち地域での歯科領域における定期的検診に加えて、同時に運動と栄養における個人と集団への支援が必要である。

 一方認知症は予防の取り組みが強化されようとしており、本シンポジウムでは最近の認知症施策推進大綱における共生と予防について説明する。予防については特にコグニティブフレイルが強調されており、早期診断の重要性が強調されている。特にアルツハイマー病においては、アミロイドPETや血液検査を用いて、発病前診断が重要とされており、バイオジェン製薬のアジュカネマブが2020年にFDAへ申請予定となっており治療薬として期待されているが、まだ未確定の部分が多い。そこで日常生活における予防が重要であり、内容としては生活習慣病の予防を始め、運動や食事による認知症予防、禁煙や社会的交流の重要性、脳トレが推奨されている。他にもうつや難聴への対応の重要性が指摘され、70歳代の認知症発症を1年程度遅らせることが目標となっている。

 すなわち共生については地域づくりと人づくりが重要であり、インフォーマルケアの重要性が指摘されている。最後に予防の取り組みが強化される中で、オーラルフレイルの重要性と認知症との関連について報告する。今後の認知症に対する歯科医師に期待される役割について議論したい。
COI:特に発表に関連して公表すべき事由はない