The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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多職種連携シンポジウム

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地域包括ケアシステム構築に向けた歯科の現状と課題

座長:岩佐 康行(原土井病院歯科)、渡部 芳彦(東北福祉大学総合マネジメント学部)

[SY3-1] 地域包括ケアシステムに歯科が参加するために ~過去の会員発表を整理して~

○岩佐 康行1 (1. 原土井病院 歯科)

【略歴】
2000年:
東京医科歯科大学大学院口腔老化制御学分野 修了
東京医科歯科大学歯学部附属病院高齢者歯科 医員
聖隷三方原病院リハビリテーション科 研修
2001年:
聖隷三方原病院リハビリテーション科歯科を開設
原土井病院歯科 常勤医
現在:
原土井病院歯科/摂食・栄養支援部 部長(兼務)

超高齢社会を迎えたわが国では,団塊の世代が75歳以上となる2025年頃から医療・介護のニーズがピークを迎える。そこで,高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう,「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」が切れ目なく一体的に提供される体制,すなわち地域包括ケアシステムの構築が進められている。

地域包括ケアシステムには,当然ながら歯科も参加する必要がある。歯科は生活を支える医療であり,高齢者では「食べること」に関連した事柄への関心が高いこと,近年口腔と全身との関係を示唆する報告が増えていることなどから,地域における活躍が期待される。

現在,各都道府県の歯科医師会においては,多職種連携のためのさまざまな取り組みが進められている。共通しているのは,会員向けに研修会を開催して人材を育てること,他職種向けに口腔ケアなどの研修会を開催して歯科の取り組みを周知すること,それらの研修会でアンケートをとって参加者のニーズを把握すること,そして歯科医師会に地域連携室などを設置して多職種連携のためのシステムを構築することである。

このように大枠では多職種連携のための基盤づくりが進む一方で,医療・介護の現場における連携はこれからである。地域包括ケアシステムは,概ね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)を単位として想定されている。したがって,歯科医師会の支部組織や,個々の歯科医院による連携への具体的な取り組みが求められるが,そこに大きなハードルが存在しているようである。

このような背景から,多職種連携委員会では,会員が地域包括ケアシステムに参加するための参考となる事例を,過去の学会発表のなかから抽出・整理する作業を進めている。本シンポジウムでは,まず私から整理した結果を報告させていただき,次に我々が注目した3つの演題の発表者にご講演いただく。2名はそれぞれ施設と歯科標榜のない急性期病院に勤務する歯科衛生士であり,「職場で孤立せずに多職種と連携し,地域と繋がっていく」ことを実践している。もう1名は開業医の立場で積極的に地域連携を推進している歯科医師で,先に講演する病院勤務の歯科衛生士とも実際に連携している。具体例を通して,我々が多職種と連携するための条件についてディスカッションしたい。

(COI開示:なし)