The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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多職種連携シンポジウム

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地域包括ケアシステム構築に向けた歯科の現状と課題

座長:岩佐 康行(原土井病院歯科)、渡部 芳彦(東北福祉大学総合マネジメント学部)

[SY3-2] 多職種連携による食支援と地域ネットワークづくり

○片桐 美由紀1 (1. 特別養護老人ホームまほろばの里)

【略歴】
2004年:
宮城高等歯科衛生士学院卒業
2004年:
仙台第一歯科医院勤務
2005年-2011年:
医療法人社団東北福祉会 介護老人保健施設せんだんの丘
2014年:
社会福祉法人東北福祉会 特別養護老人ホームせんだんの里
2017年:
社会福祉法人まほろば 特別養護老人ホームまほろばの里向山

介護領域において、歯科専門職が密接に関与する必要性の認識が高まっている。演者は、これまで一般歯科医院の訪問診療の他、介護保険施設に歯科衛生士として勤務し、そのようなニーズに応える方法を模索し、本学会学術大会等で報告してきた。また、高齢者の口腔ケアに関わる歯科衛生士が月1回集まって情報交換を行う「口腔ケア連絡会」(仙台、2009年発足)では、歯科衛生士が介護の現場で孤立しないことと、互いに連携してシームレスな口腔健康管理が実現されることを目的に取り組んできた。本発題では、現在勤務する施設における多職種と連携した食生活支援のあり方と、口腔ケア連絡会で企画して取り組んでいる『「歯科×栄養」交流会』について報告し、多職種連携の課題と可能性について紹介したい。

演者が現在勤務する特別養護老人ホームでは、開所時(2017年4月)より、施設入居者が最期まで自分の口から食べ続けることを支援するために歯科衛生士を常勤雇用し、管理栄養士をはじめとする多職種連携に取り組んでいる。介護保険施設の中でも特別養護老人ホーム入居者の多くは、認知症や全身状況低下により適切な歯科受療をせずに入居するケースが多く、食べることの課題を抱えている。先ず入居時に、歯科衛生士が口腔内アセスメントを行い、協力歯科医療機関と連携を図りながら口腔健康管理を行う中で、個々の機能に合わせた食事形態の選択・提供や、歯科治療後の咀嚼訓練などを行っている。また、多職種による月1回のミールラウンドを実施し、全職種が共通のスクリーニングシートを用いることで専門的視点を活かして共有し、個々に対象者に最適な支援方法を見出している。そのためには、職種間の役割や職業理解が欠かせない。そして、それは施設内に限ったことではなく、高齢者の生活を支える全ての関連職種に必要であり、その中で歯科衛生士が最も連携を強化すべきは管理栄養士であると考えた。そこで、前述の口腔ケア連絡会でこれまでに4回の『「歯科×栄養」交流会』を開催した。交流会では市内で先進的に食支援に関わる専門職より事例を提供してもらい、気づきの視点を養うことと、職種間で自由に意見を交わし相互理解を深めること目指している。参加者が増加し、交流の成果が少しずつ見えるようになる一方で、より効果的・具体的な連携の実現のために交流の方法を改善することが今後の課題と考えている。(COI 開示:なし)