The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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多職種連携シンポジウム

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地域包括ケアシステム構築に向けた歯科の現状と課題

座長:岩佐 康行(原土井病院歯科)、渡部 芳彦(東北福祉大学総合マネジメント学部)

[SY3-3] 地域へつなぐ歯科医療連携~歯科衛生士の役割~

○藤原 千尋1 (1. 国立病院機構福山医療センター 統括診療部 歯科衛生士)

【略歴】
2003年:
福山歯科衛生士学校卒業
2003年:
堤歯科医院入職
2005年:
フリーランス歯科衛生士
訪問歯科診療における口腔ケア担当
2011年:
福山歯科衛生士学校非常勤講師
2012年:
独立行政法人国立病院機構福山医療センター入職
2015年:
同上  口腔相談支援センター 副センター長
2016年:
同上  主任歯科衛生士

当院は歯科非標榜の急性期病院である。平成24年度より地域歯科医師会と連携し周術期口腔機能管理システムを稼働している。当初、挙手制にて登録された地域歯科医療機関との連携のみを行っていたが、令和元年度より同歯科医師会の協力のもと登録していない歯科医療機関や市外の歯科医療機関への連携も開始した。さらに院内において「患者入院支援・周術期管理チーム」を立ち上げ歯科衛生士も参画し、より質の高い院内連携および歯科医療連携を行うことを目的に、入院前より歯科衛生士が口腔内評価、患者指導を行っている。必要症例においては、周術期口腔機能管理依頼書に歯科衛生士の評価内容を追記し、術前口腔機能管理の依頼を行う。退院時には全ての患者の情報提供を行い周術期で終わらないように地域歯科医療機関へ継続的な口腔機能管理の依頼を行っている。さらに患者のセルフケア能力や認知機能の状態、口腔への意識の高さなどに応じて歯科衛生士連絡書の発行も行っている。

 また、周術期口腔機能管理以外の症例においても、転院後に口腔ケアの継続や歯科医療連携が途切れることのないよう、後方連携病院や施設などの看護師、スタッフ宛に歯科介入の依頼書と歯科医療機関や歯科衛生士に宛てた情報提供書の発行も行っている。

 当院歯科衛生士が発行する情報提供書や歯科衛生士連絡書においては、主科の治療の状況のみならず、セルフケア能力や摂食嚥下機能評価、食事摂取量、患者や家族の思いなど、可能な限り多くの情報を記載することを心がけている。私たち急性期病院の歯科衛生士は、病棟での口腔衛生管理で終わるのではなく、急性期からいかに後方連携病院や地域へ繋げていくか、歯科医療連携を調整していくことが大きな役割の一つであり、情報提供書を発行することはその一歩である。

 最後に、歯科非標榜の病院において、歯科医療従事者が在籍していることは院内スタッフの意識改革や医科歯科連携の一助となり、今後地域包括ケアシステムを構築する上で歯科と歯科の密な連携を行っていくことが、ひいては充実した医科歯科連携、地域医療連携を行うことに繋がると考える。

(COI開示:なし)